諫早図書館で「やさしい日本語」講座 大事な情報をストレートに…大学教員がこつ伝授 長崎

長崎新聞 2025/01/28 [09:51] 公開

「やさしい日本語でやさしいせかい」をテーマに話すクレシーニ准教授=諫早市立諫早図書館

「やさしい日本語でやさしいせかい」をテーマに話すクレシーニ准教授=諫早市立諫早図書館

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外国人とのコミュニケーションに役立つ「やさしい日本語」を学ぶ講座が26日、長崎県の諫早市立諫早図書館(東小路町)であった。北九州市立大のアン・クレシーニ准教授が、曖昧な日本語の使い方を示しながら「日本で暮らす外国人が使う言葉に日本人が合わせることで、暮らしやすい社会になる」と呼びかけた。
 クレシーニ准教授は1997年、米国から日本に移住し、日本語を学び始めた。現在、同大で和製英語と外来語を専門に教え、講演・執筆活動に取り組む。
 まず、1995年の阪神大震災後、災害・避難情報を外国人に伝えるために「やさしい日本語」が考案された経緯を紹介。「はっきり」「最後まで」「短く」-言うという「はさみの法則」のほか、敬語やオノマトペ、外来語、和製英語、二重否定を使わないなどのこつを説明した。
 今後も日本に住む外国人が増加することを踏まえ「外見だけで、どこの国の人で、どんな言語を使うのか分からない時代。『だれがいつ何をする』という大事な情報をストレートに伝えるのが『やさしい日本語』のゴール」と説いた。
 この後、ピアノの弾き語りでオープニングを飾ったYUNAさん(15)と司会の秋山大輝さん(19)とクレシーニ准教授が意見交換。病気で視力を失ったYUNAさんは「(歩道の点字ブロックなどの整備で)安心して外出できる社会になったら」、骨形成不全症で車いす生活を送る秋山さんは「(公共施設の)バリアフリートイレの説明を充実してほしい」と訴えた。
 クレシーニ准教授は「多様性という言葉がよく使われるが、外国人、障害のある人、高齢者が抱える課題に多くの人が日頃から意識を高められたら生きやすくなる」と結んだ。
 講座は諫早市のNPO法人「Seamless(シームレス)」と同館が初めて協働して開き、約90人が聴講した。米国出身の外国語指導助手、ワード・ミッシェルさん(24)は「日常生活で日本人と話す機会は少ない。『はさみの法則』を気を付けてもらえたら、うれしい」、県立諫早商業高1年の川口結菜さん(16)は「『あれ』『これ』『それ』という言葉をよく使うが、外国人に分かりにくいと知った。気を付けて話したい」と感想を語った。