8割超が対馬・壱岐向け、福岡和白病院のヘリコプター運用 当面は見合わせ…長崎・壱岐沖で事故

長崎新聞 2025/04/08 [11:30] 公開

壱岐沖の医療搬送用ヘリコプターの事故で、ヘリを運用していた福岡和白病院(福岡市)は7日、年間70~80件のヘリ出動のうち、8割超が長崎県対馬市と壱岐市の病院からの患者搬送だと明らかにした。今回の事故を受け「今は飛ばせる状況にない」として当面ヘリの運用を見合わせる。

 同病院によると、2008年に医療用ヘリ1機の運用を開始し、19年に現行機材に更新。これまで事故はなかったとしている。医師約100人のうち幹部職員や高齢職員を除くスタッフが搭乗し、救命医療に当たっていた。

 ヘリは心筋梗塞や脳疾患など、離島で治療が難しい重症患者を受け入れるために出動するケースが多い。コロナ禍だった20年は年間55件だったが、21年は81件に増加。以降は22年77件、23年71件で推移している。

 今回の事故で死亡した対馬市厳原町の本石ミツ子さんが救急搬送された県対馬病院は例年30件前後の出動を要請。ヘリ搬送が必要な患者の4割近くを福岡和白病院に受け入れてもらっていたという。

 県対馬病院の八坂貴宏院長は「痛恨の極み。ヘリ搬送がなくなると今後、重症の島民を救うことができなくなる」と事故の影響を懸念した。