スクールカウンセラー増員…不登校支援へ、各地の支援センターに<2025年度・長崎県予算案から③教育>

長崎新聞 2025/02/27 [10:05] 公開

長崎市魚の町の市民会館7階。楽しそうな声が聞こえる教室をのぞくと、英語の授業中だった。小学4年から中学3年の約20人が和気あいあいと話したり、前に出て発表したり。授業が終わると自学に移り、子どもたちは机に向かった。

 学校に行きづらさを感じる子どもたちが通う市学びの支援センター「ひかり」。現在約120人の小中学生が利用している。平日午前はボードゲームなどのレクリエーションと個別の学習時間があり、午後は週に2回、体を動かす時間を設けている。中には学校に行きながら通う児童生徒も。子どもの状況に合わせ個別の指導・相談も行う。

 昨年から通う中学3年の女子生徒は「不登校になって外に出る機会がなかったけど、ここに来て明るくなった。友達に会って雑談するのが一番楽しい」とうれしそうに教えてくれた。

 同センターは、不登校児童生徒の学びの場や居場所の選択肢となる公的機関「教育支援センター」の一つ。長崎県内に県立と市町立の計17施設がある。

 退職した教員などの指導員らが相談に応じているが、県教委は2025年度、新たに県内の教育支援センターに専門職のスクールカウンセラー(SC)を配置する。本年度、県教委が公立学校に置いているSCは104人。県の25年度当初予算案に盛り込んだSC活用事業費(2億4900万円)の一部でSCを12人増員し、センターへの配置に充てる。

 配置されるSCはセンターでの対応だけでなく、センターを起点にフリースクールや家庭にも出張するなど、市町で状況に応じ運用する。配置先については県教委が現在、各市町に配置の希望を尋ねている。

 県教委によると、23年度の調査で、県内の公立学校で不登校になった児童生徒は過去最多の4095人。学校でSCが受ける子どもや保護者からの相談は不登校に関する内容が多くを占め、相談体制の強化がより必要な現状がある。

 不登校の児童生徒について、県教委は教室への復帰だけではなく「以前より子どもの笑顔が増えたり、センターに来る回数が増えたり」といった変化を重視したい考え。児童生徒支援課は「その一つの方策として相談の機会を少しでも増やし、子どもや保護者にアプローチができれば」としており、センターへのSC配置を子どもの状況の把握につなげる。

 「ひかり」で子どもの指導に当たる長崎市教育研究所の担当者は「(通う)子どもたちはいろいろなものを抱えている。専門的な視点でアプローチがもらえることはありがたい。相談員とも連携し、うまく活用ができたら」と期待を寄せる。