視線で紡ぐアート、一冊に 重い障害のある子ら制作

共同通信 2025/04/13 [16:45] 公開

社会福祉法人「あいの実」が制作した、重い障害のある人たちが視線入力で描いたアート作品を紹介する本

社会福祉法人「あいの実」が制作した、重い障害のある人たちが視線入力で描いたアート作品を紹介する本

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 重い障害のある人たちが視線入力装置を使い、目の動きだけで描いた独創的で色鮮やかなアート作品を紹介する本が完成した。仙台市の社会福祉法人「あいの実」が制作。乾祐子理事長は「視線が紡がれることで素晴らしい作品が生まれた。子どもたちが秘めている可能性や表現の力を感じてほしい」と話している。

 視線入力は、専用の装置で目の動きを検知し、文字入力や図像の操作を可能にする仕組み。重度の肢体不自由と知的障害が重複する重症心身障害児ら18人が作品を手がけた。

 パソコンの画面に表示されたパレットに視線を合わせてまず色を選択し、目を動かすことで鮮やかな線を描いていく。早く動かすと細い線、ゆっくり動かすと太い線。カラフルなアートにはそれぞれの個性がにじむ。

 描き手の一人、松本理沙さん(8)は脳性まひがあり、言葉を発したり体を動かしたりするのが難しい。母美香さん(46)は意思疎通に悩んでいたが、理沙さんが4歳の時、自宅に装置を導入した。理沙さんが視線で描いた絵を見ると、心の内を想像することができる。