大村市パートナー制度導入1年 多様な性へ理解深めて NPO法人理事長が講演

2025/01/25 [11:50] 公開

性の多様な在り方について説明する五十嵐さん=大村市本町、プラザおおむら

性の多様な在り方について説明する五十嵐さん=大村市本町、プラザおおむら

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長崎県大村市は19日、LGBTQなど性的少数者のカップルを公的に認める「パートナーシップ宣誓制度」の導入から1年がたったのを記念し、同市内で講演会を開いた。NPO法人レインボースープ(福岡県)理事長の五十嵐ゆりさん(51)が多様な性の在り方や社会課題について語った。
 五十嵐さんは、性を構成する要素として▽戸籍上の性別▽性自認▽性的指向▽性別表現-の四つを解説。性自認や性的指向は自在にコントロールできず、「周囲にばれたら拒絶されるのでは」と不安に思う当事者も少なくないと説明した。
 自身はレズビアンであるとした上で、以前の職場では男性と交際しているふりをしていたと振り返り、「当事者ではない者として振る舞わないといけない人がたくさんいる」と訴えた。もし知人から当事者だとカミングアウトされたら「受容的な姿勢で落ち着いて話を聞いてほしい。(本人の同意なく暴露する)アウティングにつながらないよう注意を」と呼びかけた。
 今の社会の仕組みは異性愛者を前提としていることが多いと指摘。宣誓制度は当事者の存在を社会的に承認してくれると述べた。大村市は昨年、同性カップルに異性間の事実婚と同じ「夫(未届)」の続柄を採用した住民票を全国で初めて交付。五十嵐さんは「自治体が当事者を想定した対応をしてくれた。勇気と希望を持てるニュースだった」と評価した。
 市は2023年10月に制度を導入。これまでに7組が宣誓している。