長崎大BSL4 厚労省が施設指定 エボラなど危険病原体研究目的で国内初

長崎新聞 2025/01/25 [11:30] 公開

最も危険な病原体を研究目的で扱える国内初の施設となった長崎大のBSL4=長崎市坂本1丁目

最も危険な病原体を研究目的で扱える国内初の施設となった長崎大のBSL4=長崎市坂本1丁目

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厚生労働省は24日、エボラウイルスなど致死率の高い病原体を扱う感染症研究施設「バイオセーフティーレベル(BSL)4」に、長崎大が長崎市の坂本キャンパスに建設した高度感染症研究センター実験棟を指定したと発表した。同ウイルスなど「1種病原体」を予防法や治療法の研究目的で扱える国内初の施設となる。
 同大は2010年、感染症に対する長年の研究実績を生かし、予防法や治療法の研究を通じて世界に貢献しようと施設設置検討を表明。県、長崎市と15年に整備に関する基本協定を結び、政府は16年に国策として支援する方針を決めた。鉄筋コンクリート5階建ての実験棟は21年に坂本キャンパスに完成した。
 指定後は国の指導、監督を受け管理・運営に当たるが、実験室で1種病原体を扱うには、所持について厚労相の指定または承認の手続きが別途必要になる。同大は所持の手続きを進める意向だが、数年を要するとみられる。
 施設は市街地にあり、稼働に反対する地元住民もいる。施設指定に向けた関係政令の改正に絡んで約1カ月間実施されたパブリックコメント(意見公募)には、安全性への懸念など計9万2306件の意見が寄せられた。政府が運営するポータルサイトに意見の内容と見解を掲載。厚労省感染症対策課は「意見を踏まえ、さらなる理解をいただけるよう引き続き丁寧な説明に努める」としている。
 施設指定について大石賢吾知事は24日の定例会見で「厚労省の監督の下、高度な研究や人材育成が進むことを期待する」と歓迎。長崎市は同日、鈴木史朗市長名で「市民の理解をいっそう進めるため長崎大に継続的な取り組みを求めていく」とのコメントを出した。