家族になろうよ

2024/07/11 [10:00] 公開

〈どんなことも越えてゆける/家族になろうよ〉〈あなたとなら生きてゆける/そんなふたりになろうよ〉-福山雅治さんの「家族になろうよ」はとても困った曲だ。いつ聞いてもどこで聞いても、ぐっと胸が詰まって泣きそうになる▲単純に考えたい。「どんなことも」と誰かが心に決めた相手が異性なのか、同性なのか-男女間の婚姻と同性婚の間にあるのは、それだけの違いでしかない。少なくとも、事実婚の男女と同性カップルの取り扱いを区別する合理的な理由はいくら考えても思いつかない▲男性カップルの住民票に「夫(未届)」の続柄記載を認めた対応を巡って、大村市と総務省のやり取りが熱を帯びている。ただ、双方の主張が少しずつねじれているのは気にかかる▲続柄をこう記載したからといって、事実婚と認めたことにはならない-と大村市。えっ。なんか梯子(はしご)が外れていないか。記載を喜ぶ笑顔を忘れたわけではあるまい。乗りかかった船、ここはもうひと踏ん張り▲一方、総務省は〈同性カップルには、準婚として各種社会保障の面で法律上の夫婦と同じ取り扱いを受けているという前提がない〉。おかしい。その「前提」を疑うべき時だ▲〈家族になろうよ〉…憲法がその自由を保障していることは裁判所の統一見解になりつつある。(智)