さよなら大村市民プール…地元で人気も、26日で営業終了 新しい施設はどうなる? 長崎

2024/08/24 [11:30] 公開

大勢の来場者でにぎわう市民プール。スライダー(奥)や流れるプール(手前)を楽しむ人であふれている=大村市森園町

大勢の来場者でにぎわう市民プール。スライダー(奥)や流れるプール(手前)を楽しむ人であふれている=大村市森園町

  • 大勢の来場者でにぎわう市民プール。スライダー(奥)や流れるプール(手前)を楽しむ人であふれている=大村市森園町
  • 人気の波が出るプール。子どもたちの大切な遊び場となってきた=大村市森園町
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28年間、大村市民に愛されてきた市民プール(森園町)が、新市庁舎の移転や市内のプール施設の集約などを理由に今年で閉鎖する。26日の営業最終日を前に惜しむ声が聞かれる一方、跡地周辺の町づくりがどうなるのか市民の関心が高まっている。

 お盆明けの週末だった今月17日、市民プールは家族連れなど大勢の来場者でにぎわっていた。浮輪を付けた子どもたちが、施設内にあるさまざまな種類のプールを行ったり来たりして歓声を上げた。熊本県から訪れた男子中学生は「年齢問わず楽しめる場所がいっぱいある」と語った。

 市民プールは1996年開業。これまでに延べ100万人以上が来場した。毎年学校の夏休みに合わせて営業し、大村の子どもたちの大切な遊び場となってきた。人気の理由の一つは施設の種類の多さ。シンボル的存在となった二つのスライダー、流れるプールや波が出るプール、飛び込み場などを備える。

 「夏休みで行く施設というイメージ。なくなるのは寂しい」。市内の男性公務員(24)は子どもの頃通い詰めた。急降下する直下型スライダーが最初は怖かったり、売店のフローズンがおいしかったりと思い出は尽きない。今年も1日当たり平均1385人、多い日は約3千人が利用し夏の思い出をつくっている。

 施設入り口にはホワイトボードが置かれ、28年の歴史に幕を下ろすプールへ向けたメッセージが書かれていた。「さよなら!楽しかったです」「自分が子どもの頃から通って、今では自分の子どもと来るようになりました」「今年で最後なんだ…ありがとう」「たのしい、またきたい」-。

 市民プールが惜しまれながら営業を終了する理由の一つに新市庁舎の移転がある。新庁舎は当初、現庁舎(玖島1丁目)裏での建設を目指したが、予定地に断層が発見され断念。市民プールが新たな移転先に決まり、2028年度の供用開始を目指している。

 プールの老朽化も理由に挙がる。施設の漏水が確認されており、庁舎移転などを機に屋内プール(幸町)との集約化を決めた。

 市スポーツ振興課によると、新しいプールは新庁舎に近い森園公園(森園町)に整備する方針。隣接する市環境センター(同)の建設に合わせ、ゴミ焼却時の余熱を利用して温水プールの熱や電気に活用できるような設計を検討する。

 ただ、今の市民プールがそのまま移転するわけではなく、レジャー要素がどの程度盛り込まれるかは未知数だ。新市庁舎移転に関する市民向け説明会で園田裕史市長は「現在と同じ規模だと(建設・維持に)多額の費用が生じるが、レジャープールは年間30~40日しか使わないので難しい。年中使えるものを検討している」と述べた。

 新プールの供用開始は新環境センターの整備に合わせ29年度中を目指す。それまでの間、子どもたちの水遊びの機会をどのように確保するかも課題だ。

 屋内プールは当面利用できる。このほか、園田市長は2日の定例会見で松原海水浴場(松原2丁目)の活用や、ボートレース大村(玖島1丁目)での水遊びイベント開催などについて言及。「屋内屋外を通じてどのような形でできるか相談していきたい」としている。