長崎出身の女性のクラフトジン 輸入販売始まる スコットランドで夫と製造、国際コンテスト「金」も

2024/07/09 [12:30] 公開

ユウコウを使ったクラフトジン「urar gin」=長崎I・Kホテル

ユウコウを使ったクラフトジン「urar gin」=長崎I・Kホテル

  • ユウコウを使ったクラフトジン「urar gin」=長崎I・Kホテル
  • 一時帰国し、収穫前のユウコウを見る石橋さん(右)と夫=長崎市内(ペブル提供)
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長崎市の伝統柑橘(かんきつ)ユウコウを使ってスコットランドで製造されているクラフトジンが、日本でも8日から輸入販売が始まった。同市出身の女性が夫と作り、ジンの国際的なコンテストで金メダルを獲得した逸品。稲佐山観光ホテル(同市)専務の小林央幸(ひろたか)さんが新会社で輸入を手がけ、市内の飲食店や酒屋で提供する。
 名称は「urar gin(うらジン)」。ジンに欠かせない香辛料ジュニパーベリー(西洋ネズの実)は、同国北部のハイランド地方アビモア産。蒸留過程の香り付けとして、長崎市で栽培するユウコウをはじめ、ユズ、レモンピールを使い、さわやかな香りやほのかな甘みが特長だ。コリアンダーと花椒(ホアジャオ)のスパイスも加えた。アルコール度数41%。
 英国スピリッツ専門雑誌主催「The Gin Masters2024」には、世界中の優れたジンがエントリーし、業界専門家がブラインドテイスティングで審査。うらジンはコンテンポラリー部門で金メダルに輝いた。
 小林さんのいとこ、石橋征子(もとこ)さんが英国留学中に知り合った夫ロビン・バン・アインイーゼルさんと、互いに郷土の個性を融合させたジンづくりに2019年から乗り出した。長崎からフリーズドライにしてユウコウを取り寄せ、アビモアの蒸留所と共同で開発。昨年5月に英国内で発売し、小林さんが輸入代理店として「ペブル」を設立した。
 名称の「urar」は同国のゲール語で「フレッシュな」「アップデートする」を意味する。ユウコウの自生地で、かつて潜伏キリシタンがいた同市外海地区の「浦」(入り江)もイメージした。小林さんは「長崎と欧州の素材に、中国の花椒も加え『和華蘭』テイストに仕上げた」としている。
 市内の▽Oyster Bar Churi(船大工町)▽sakae BAR(浜町)▽長崎I・Kホテル内のレストラン(恵美須町)▽稲佐山観光ホテル内のバーとカフェ(曙町)-でカクテルやオリジナルメニューを提供している。吉田酒店(恵美須町)、石丸文行堂(浜町)、酒のひらどご屋(尾上町、アミュプラザ長崎)で700ミリリットル、7700円で販売。ネット通販も行っている。