長崎の被爆者、平均年齢86歳超え…4団体は活動継続に不安も「引き継ぎ急ぐ」「できるだけ続ける」

長崎新聞 2025/04/24 [10:30] 公開

被爆者健康手帳所持者の推移

被爆者健康手帳所持者の推移

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被爆80年の今年、長崎被爆者の平均年齢は80代後半に突入し、人数も10年前の節目から半減した。核なき世界の実現に向け、被爆者の訴えが必要とされる中、加速度的に進む「高齢化」と「減少」は活動に影を落とす。長崎の被爆者4団体は、どう受け止めるのか。

 「自分自身もそう長くはないのかな、と不思議な感じ」。そう語る県平和運動センター被爆連の川野浩一議長(85)は、4団体トップの中では最年長だ。

 県と長崎市が交付する被爆者健康手帳所持者(被爆者)の平均年齢は3月末時点で、それぞれ86・39歳と86・11歳。人数は2万3543人に落ち込み、被爆70年(2015年)と比べ2万4千人余り少なくなった。

 川野議長は、さらなる高齢化で被爆者が活動できなくなる時代はそう遠くないとした上で「動けなくなってからでは遅い。被爆2世にどう団体の活動を引き継いでいくか、作業を急がなければ」と強調した。

 「自分は若い方」と語る長崎原爆遺族会の本田魂会長(81)。「できるだけ核廃絶運動を続けたい」が、新たな仲間を増やすにも限界がある。「周りの人に無理を言うことはできない」と活動継続に不安をこぼした。

 県被爆者手帳友の会の朝長万左男会長(81)は「全国の被爆者がいよいよ10万人を切る時代に来た。被爆100年には被爆者がほぼいないことも考えられる」として、こう先を見通す。「今後は被爆者団体としての活動より、若い世代が主体の平和団体の活動が強まっていくだろう」

 被爆者の証言活動でも、厳しさは増す。長崎原爆被災者協議会「被爆体験を語り継ぐ会」の被爆者メンバーは14人。23年からは被爆2世も迎え入れたが、修学旅行生らを対象にした年間400件超の講話の多くは被爆者が担う。体調不良や死去でメンバーは減り続け、中元英貴事務局次長は「危機感しかない。『講話が生きがい』という方もいるが、とにかく体が心配。被爆者ではない人が講話を引き継ぐ方法を早急に考えている」と話す。