父親の性的虐待、賠償認めず 最高裁、民法の「除斥期間」適用

共同通信 2025/04/18 [18:32] 公開

最高裁判所=東京都千代田区

最高裁判所=東京都千代田区

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 最高裁第3小法廷(平木正洋裁判長)は、子どもの頃に性的虐待を受けたとして40代の女性が父親に損害賠償を求めた訴訟で、女性側の上告を退ける決定をした。16日付。女性側敗訴が確定した。一、二審判決は、父親の虐待を認定する一方で、不法行為から20年で賠償請求権が消滅する民法の「除斥期間」が経過したと判断し、請求を退けていた。裁判官5人全員一致の結論。

 判決によると、父親は女性が保育園児だった頃から膝に乗せてわいせつなビデオを見せたり胸をなめたりし、小学4年から中学2年まで性行為をした。女性はその後、感情をコントロールできなくなったり、「私は悪い人間だ」と否定的に考えるようになったりし、精神的苦痛を被った。

 女性は2020年に提訴し、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状が現れ始めたのは18年1月ごろだったと主張したが、22年10月の一審広島地裁判決は、10代後半には精神的苦痛が生じていたため、遅くとも女性が20歳になる1998年ごろが除斥期間の起算点だとした。