長崎県教委は16日、佐世保市の「鬼塚古墳」と「鬼塚古墳出土遺物一括」を新たに県文化財に指定した。県指定文化財は396件、うち有形文化財の美術工芸品は125件、史跡は95件になった。県史跡の「島原城跡」は未指定箇所の一部を追加指定した。
県文化財保護審議会の答申を受けていた。「鬼塚古墳」は大村湾に突き出す尾根斜面に立地する5世紀前半の直径約17メートルの円墳。主体部は全長3.85メートルの横穴式石室で、遺体を埋葬した「玄室(げんしつ)」と、埋葬時の通路「羨道(せんどう)」からなる。「残存状況が良好な数少ない事例で、古墳築造の背景を考える上でも非常に重要」と評価された。
「鬼塚古墳出土遺物一括」は、2013年度に佐世保市が実施した鬼塚古墳の発掘調査で「玄室」から出てきた遺物58点。青銅鏡、鉄製甲冑(かっちゅう)、鉄剣、鉄刀、鉄鏃(てつぞく)、鉄鎌、鉄斧(てっぷ)からなる。ヤマト政権から下賜された可能性が高く、このうち鉄製甲冑は県内初の出土。被葬者の軍事的性格が色濃く反映され、朝鮮半島への侵攻に関与した可能性があるという。
佐世保市の朝長則男市長は「県の歴史を示す貴重な文化財として、また地域史を伝える重要な史跡、有形文化財として適切に保存管理し、後世に継承していけるよう尽力したい」とコメントを出した。
島原城跡は、16年に一部が史跡に指定されていた。長崎地方裁判所島原支部の公舎移転に伴い、「大手口跡」の未指定箇所の一部の市公有化が実現したため追加指定した。