長崎市内で開催中の長崎ランタンフェスティバル。大浦町の長崎孔子廟(びょう)で1月31日、所属変面師の小林奈由さん(12)と、関東を拠点に活躍する王文強さん(36)の初の師弟共演があり、迫力のある演技で観客を魅了した。
小林さんは、父と訪れた同フェスで変面をみたことをきっかけに2017年から修業を始め、小学生変面師「妃那(ひな)」として活動してきた。
しかし、20年の新型コロナウイルス感染拡大の影響で、孔子廟は年間約3分の1を休館し、来場者は8割減。来場者の約1~2割を占める同フェスも21、22年と中止となり、小林さんが披露する機会もぐっと減った。
「私がやってきたことは大したことじゃなかったのかな」。落ち込み、気持ちが変面から離れそうにもなった。そんな小林さんに、藩秀貴館長(58)は「次に披露する時に成長した姿を見せよう」と声をかけた。
「うちの変面師に足りないのは技術だ」と考えていた藩館長は、小林さんがまとまった練習ができる機会と前向きにとらえ、中国から来日し変面などを通じ文化交流に取り組む王さんに「弟子入りさせてほしい」と依頼。20年夏からリモートで指導が始まった。
小林さんは、演技中の踊りや作法も館長が「見違えるほど」成長。素顔から面を着けた状態になる最も難易度が高い技「回面」も身に付けた。
超満員の会場。面を変えるたびに歓声と拍手が湧き起こった。広島市の戸高喬さん(43)は、朝10時から何度も見学し変面漬けの一日を過ごした。「孔子廟は雰囲気が良い。(2人の演技は)客との掛け合いなどユーモアがあって楽しかった」と興奮気味に話した。
演技を終えた王さんは「演技もずいぶん慣れて成長している。(小林さんは)長崎で中国文化を紹介する大事な役割。期待している」。小林さんは「とにかく緊張した。コロナ禍を乗り越えられたのは周りの支えと師匠ができたおかげ」と笑顔で話した。