国の指定地域外で長崎原爆に遭い、被爆者と認められていない「被爆体験者」に被爆者と同等の医療費を助成する新事業を巡り、3月末までに長崎県と長崎市に少なくとも4122人からの申請があったことが17日、県市のまとめで分かった。全国に約6千人いる体験者のうち、3分の2程度が申請した形。従来は助成の対象外だった原爆投下当時に胎児だった人も含まれる。
新事業は体験者救済に向け国が昨年12月から開始。3月末までに申請すれば、制度開始日にさかのぼって助成を受けられた。市は市内と近畿以東の県外からの申請を所管し、それ以外を県が担当。厚生労働省によると、体験者は2023年度末時点で全国に6323人いる。
申請数の内訳は県が938人、市が3184人。市は3月17日時点の集計のため、月末までの申請数はさらに増える見通し。助成に必要な「第2種健康診断特例区域医療受給者証」を交付したのは3月末時点で計3851(県821、市3030)人。申請数との差は審査が完了していないケースなどで、これまでに申請を却下した例はない。
体験者への助成は従来、被爆体験に起因する精神疾患と合併症、7種類のがんに限られていた。新事業では精神科の受診要件を撤廃し、助成対象を造血機能など11種類の障害を伴う疾病に罹患(りかん)した人に拡大。原爆投下時は胎児だった体験者も対象に含めた。
県市によると、新事業によって新たに受給者証を取得したのは、計521人(今年3月末時点)。一方で新事業の申請に応じなかった人もおり、県市によると従来の助成範囲で十分と考えたり、高齢で手続きが困難だったりすることが理由として考えられるという。
第2次全国被爆体験者協議会の岩永千代子会長(89)=同市=は、現状の申請数を「不十分」とし、「県外の対象者に案内が行き届いていない。より丁寧で分かりやすい制度の周知を」と話した。
新事業は体験者救済に向け国が昨年12月から開始。3月末までに申請すれば、制度開始日にさかのぼって助成を受けられた。市は市内と近畿以東の県外からの申請を所管し、それ以外を県が担当。厚生労働省によると、体験者は2023年度末時点で全国に6323人いる。
申請数の内訳は県が938人、市が3184人。市は3月17日時点の集計のため、月末までの申請数はさらに増える見通し。助成に必要な「第2種健康診断特例区域医療受給者証」を交付したのは3月末時点で計3851(県821、市3030)人。申請数との差は審査が完了していないケースなどで、これまでに申請を却下した例はない。
体験者への助成は従来、被爆体験に起因する精神疾患と合併症、7種類のがんに限られていた。新事業では精神科の受診要件を撤廃し、助成対象を造血機能など11種類の障害を伴う疾病に罹患(りかん)した人に拡大。原爆投下時は胎児だった体験者も対象に含めた。
県市によると、新事業によって新たに受給者証を取得したのは、計521人(今年3月末時点)。一方で新事業の申請に応じなかった人もおり、県市によると従来の助成範囲で十分と考えたり、高齢で手続きが困難だったりすることが理由として考えられるという。
第2次全国被爆体験者協議会の岩永千代子会長(89)=同市=は、現状の申請数を「不十分」とし、「県外の対象者に案内が行き届いていない。より丁寧で分かりやすい制度の周知を」と話した。