自衛目的で他国領域のミサイル基地など破壊する反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有を盛り込んだ安保関連3文書改定が16日、閣議決定されたことを受け、長崎県内からは憲法に違反しているなどとして批判の声が上がった。
長崎原爆被災者協議会の田中重光会長(82)は「専守防衛から大きく飛び出した。政権は暴走している」と猛烈に批判する。
海上自衛隊の護衛艦を実質上、空母化する動きなども踏まえ「戦争の反省の上に立ち平和憲法をつくった。自衛のためと拡大解釈していけば、憲法がないのと同然。もはや戦前が始まった感じだ」と憤った。長崎被災協など県内34団体は17日、長崎市中心部の鉄橋で反対集会を開く予定だ。
米軍の動向を追う佐世保市のリムピース編集委員、篠崎正人氏も「憲法違反としか言いようがない」と指摘。その上で「(そもそも)どこに、どう反撃するのか。反撃する場所を把握することは可能なのか」と疑問を投げかけた。
防衛費増額の財源を巡り、政府は一部を増税で賄う方針だ。
諫早市の60代の主婦は、物価高騰による生活の厳しさを訴え「所得税が増税になればさらに大変になる」と不安げ。「世界情勢を見ながらの判断だろうが、そこまでする必要はあるのか」と疑問を呈した。
佐世保市の40代の自営業の女性は、北朝鮮のミサイル発射などを踏まえ「今の装備で国を守れるのか(不安がある)」と政府の方針に一定の理解も示す。だが「(増税に)大賛成ではない。他のやり方があるならそうしてほしい。急いで決めず、もっと議論を」と訴えた。