長崎県の佐世保工業高等専門学校(佐世保高専)に、新たな屋内実験施設が完成した。イネなどの水田作物を食い荒らすジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)駆除の研究などに活用する。屋内では天候などの影響を受けないため、効率よく質の高い実験ができるようになった。
名称は「フィールドサイエンス実験室」。7月に完成した。鉄筋造りの平屋で、延べ床面積は73平方メートル。総工費は約1630万円。
ジャンボタニシの駆除などを研究する同校電気電子工学科の柳生義人准教授(45)によると、ジャンボタニシは南米が原産。1980年代に食用として輸入され、九州を中心に32都県に拡大。国際自然保護連合(IUCN)の「世界の侵略的外来種ワースト100」にも含まれている。柳生准教授はジャンボタニシが電気に反応することを発見し、水田でタニシを電気で寄せ集め、超音波で駆除する方法を開発している。
施設では大型の水槽でタニシを飼育し、駆除に向けた実証実験をする予定。屋外実験は天候の影響を受けるため、正しい結果かどうか判断しづらいこともあった。施設では、タニシが冬眠する冬場でも温水を準備して実験を続けられる。今後は動植物などを対象にした実験や、学生の卒業研究でも活用する。
柳生准教授は「屋内の研究施設が完成したことにより、理論に基づいた研究ができる。(研究が進めば)世界初の知見が生まれる可能性もある」と期待を込める。