デザインと地域、つながり確認 デザイナー故城谷さんしのぶ 雲仙・刈水でトークイベント

長崎新聞 2022/07/25 [11:00] 公開

刈水地区での活動を紹介する古庄さん(左から2人目)=雲仙市小浜公会堂

刈水地区での活動を紹介する古庄さん(左から2人目)=雲仙市小浜公会堂

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 長崎県雲仙市小浜町刈水地区を拠点に活動したプロダクトデザイナー、故城谷耕生さんが築いたデザインと地域のつながりをテーマにしたトークイベント「刈水デザインキャンプ」が、同町の小浜公会堂であった。県内外から約60人が集まり、城谷さんが残した思いを共有した。
 城谷さんは同町出身で、イタリアや国内でデザイナーとして活躍。過疎化が進む同地区の空き家を改修し、2012年にショップ&カフェ「刈水庵」を開いた。城谷さんに魅せられたクリエーターらが移り住む流れをつくり「もの、人、地域のつながり」によるにぎわいを創出。しかし20年12月に52歳で急逝した。
 イベントは同地区への移住者らでつくる「刈水町作り委員会」(諸山朗(あき)代表)が、16日に開いた。3部構成で、第1部は地域に根差し活動する各地のデザイナーが執筆した書籍「おもしろい地域には、おもしろいデザイナーがいる」(学芸出版社)の出版記念も兼ね、著者5人が登壇した。
 同会の会員でもある古庄悠泰さん(32)=福岡県出身=は、刈水庵の店長を経て、近くの商店街にデザイン事務所を構えた。「事務所に喫茶室を設け、地域の人たちと話したりお酒を飲んだりする中で、小浜にはいろんな職業のすごく面白い人が多いことに気づいた」と紹介。小浜の人物紹介マップを作成する過程を例に「クライアントでもある地域の人たちと同じ時間を過ごすうちに、新しい仕事や取り組みが生まれる自然な流れがある」と結んだ。
 奈良県の過疎地域、東吉野村で、クリエーターがフリーランスのように働ける会社を設立した坂本大祐さんは、城谷さんと親交があった。「まちのため、人のためのデザインという考え方の入り口を開いてくれたのが城谷さん」としのんだ。
 第2部は、城谷さんの業績を振り返り、第3部は刈水地区の今後の展開をテーマに、ゆかりの人らが語り合った。