過疎の小さな集落に活気 今年も泳ぐ「こいのぼり」 150匹、春風に舞う 五島・琴石

長崎新聞 2025/04/23 [12:00] 公開

風を受けて泳ぐこいのぼり=五島市富江町琴石

風を受けて泳ぐこいのぼり=五島市富江町琴石

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高齢化が進む長崎県五島市富江町琴石地区で、約150匹のこいのぼりが掲げられ、春風に舞っている。過疎の小さな集落に、季節の彩りと活気をもたらしている。
 掲揚は2012年、地域おこし協力隊員の発案で始まり、15年からは住民主体で継続。こいのぼりは島内外から寄贈され、春の風物詩として親しまれている。
 昨年、運営の中心を担ってきた近藤洋市さん(81)が体調不良を理由に「今年で最後」としていた。だが、昨年1月に夫婦で生家に戻った角英喜さん(75)が、地域が活気づく様子に心を動かされ後継を申し出たことで継続が決まった。
 21日に住民約10人が協力して飾った。今年は来訪者を歓迎する思いを込めて、集落の入り口や小川にかかる橋の欄干にも竹ざおを立てた。総延長約200メートルのロープ4本には色とりどり大小さまざまなこいのぼりが取り付けられ、軽トラックでロープを引き上げると、次々と空へと上がった。
 琴石集落は13世帯16人が暮らし、平均年齢は83歳。角さんは「琴石からこいのぼりが消えたら、住民の元気もなくなってしまうと思った。見に来た人たちも楽しんでもらえたらうれしい」。近藤さんも「もう無理かと思っていたけれど、続けてもらえて本当にうれしい」と笑顔を見せた。
 住民の佐藤智子さん(82)は「毎年、老人会や保育園の子どもたちなどが訪れて、にぎやかな声に元気をもらっていた」と継続を喜んだ。こいのぼりは来月10日まで掲げる予定。