長崎スタジアムシティ 工事は96%進展…姿現した新施設! 経済効果は1年で963億円の試算

2024/07/16 [10:59] 公開

長崎スタジアムシティ

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  • 今後さまざま機能を持たせる長崎スタジアムシティの公式アプリ
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通販大手、ジャパネットホールディングス(HD、長崎県佐世保市)が手がける大型複合施設、長崎スタジアムシティ(長崎市幸町)の開業が3カ月後に迫った。6月末時点で工事は96・1%まで進展。サッカーJ2、V・ファーレン長崎のホーム「ピーススタジアム」やバスケットボール男子、Bリーグ1部(B1)長崎ヴェルカの本拠地「ハピネスアリーナ」など、真新しい施設が長崎のまちに姿を現した。

 JR長崎駅(同市尾上町)から北に徒歩約10分。市中心部の約7・5ヘクタールの敷地に900億円台の事業費を投じ、スタジアムとアリーナのほか、ホテル、ショッピングモール、オフィスビルを整備。約1万3千人の雇用創出と年間約850万人の利用者を見込み、経済効果は開業から1年間で約963億円と試算されている大型プロジェクトだ。
 6月に公開されたジャパネットHDの髙田旭人社長と同市出身のシンガー・ソングライター、福山雅治さんの対談動画。同市内からの中継映像にスタジアムシティが映し出されると、福山さんは「見慣れた長崎のまちに、見慣れないものができましたね」と笑顔。「今後何年、何十年とたって見慣れた景色になって、まちの一部として、一つの象徴として根付いていくんだなという現実味が増しましたね」と語った。
 開業日前日に福山さんが開くこけら落としライブの申し込みは約28万件。期待の高さを表している。

◎ICT活用し効率化 多機能アプリで並ばず快適に

 スタジアムで食事の購入時間を大幅に短縮したり、広大な敷地内で迷わず目的地にたどり着けたり-。長崎スタジアムシティを運営するリージョナルクリエーション長崎(長崎市、岩下英樹社長)は、情報通信技術(ICT)の活用で来場者の快適性を追求する。鍵を握るのが独自に開発したスマートフォン用アプリ。施設内での食事の注文から支払い、受け取りまでアプリを使うことで、列に並ばずに済む仕組みの実現などを目指している。
 6月21日にリリースしたアプリは福山雅治さんのこけら落としライブの申し込みを受け付けたことなどが奏功し、約2週間で30万ダウンロードを突破。施設内で開かれるサッカーやバスケットボールをはじめ、さまざまなイベントの予約ができ、決済機能も搭載する計画。
 食事の注文にアプリを使える仕組みは開業までに供用できる予定。岩下社長はプロ野球の開幕戦を視察した際、「食事を買うのに1時間半くらい待った」経験がある。並ぶ時間が長いのは客にとっても運営側にとっても「価値を生んでいない」と指摘。アプリが利用できれば「仮に提供に30分かかったとしても、(並ぶことなく)その間に試合の観戦やほかの買い物ができる」と話す。
 アプリ利用者が使う施設内のWi-Fiにもこだわる。例えばサッカースタジアムで観客2万人の半数以上がWi-Fiにつなげたとしても通信が安定する環境を目指す。約7・5ヘクタールと広大な敷地で来場者が迷わずに目的にたどり着ける「(アプリが)道案内をしてくれるような仕組みも開発中」(岩下社長)という。
 事業主のジャパネットホールディングスの髙田旭人社長は「スポーツビジネスの収益化は難易度が高い」とした上で「(アプリの活用が)試合や飲食を運営する上でコスト削減につながる」とし、事業成功に欠かせないツールとの認識を示す。