「市長、副市長の責任重大」南島原・サテライトオフィス問題 市議会百条委が調査報告 長崎

長崎新聞 2025/02/21 [11:00] 公開

サテライトオフィス事業 資金の流れ

サテライトオフィス事業 資金の流れ

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長崎県南島原市深江町の道の駅「ひまわり」に企業誘致のための「サテライトオフィス」を整備する事業が頓挫した問題を巡り、地方自治法に基づき市議会に設置された調査特別委員会(百条委員会)は20日開会した定例市議会で調査結果を報告した。隈部和久委員長は「市財政へ損害を与え、市政への多大な不満と不信を生じさせた。市長、副市長の責任は重大」と結論づけ、厳しく批判した。

 百条委は昨年10月に設置。昨年7月に設置した調査特別委と合わせ計14回、関係者を招致して審理を終えた。今後は市議会で市側の責任などを追及する。

 サテライトオフィス事業を巡っては、南島原市が事業者のエバーグリーン(佐世保市)から委任を取り付け、着工前の2023年8月、補助金9千万円を施工業者の成和(福岡市)に送金。工事は資材や人手不足を理由に進まず、エバーグリーンが昨年5月に廃止を届け出た。市は補助金を返還するよう同社に命じたが、返還されていない。

 隈部氏は委員長報告で、補助金が着工前に概算払いされた経緯について「前例にない異様な支出」と断じた。工事費の全額前払いを求めたエバーグリーンの要求を市が受け入れ、請負金額500万円以上の建設業許可を持たない成和に委任払いで9千万円を振り込んだことが「今に至る大問題を引き起こした」と指摘。「業者についてちょっと調べていれば、計画の不自然さが露呈し、振り込みを回避できた」と強調した。

 松本政博市長や議会に報告せずに補助金支出の手続きを進めた山口周一副市長について「行政のガバナンスを堅持すべき立場でありながら真逆の行動」と批判。「(山口副市長が)行政運営の最上位で指示、裁可を行ったことが、今回の事案の大きな要因」と厳しく指摘した。

 松本市長は施政方針演説の冒頭で「市民に多大な心配、迷惑をかける事態になり深くおわびしたい」と陳謝。「事務処理や手続きの検証と見直しを図る。併せて(補助金支出を検証する)第三者委員会を設置し、信頼回復に取り組む」と述べた。