JR九州が運賃15%値上げ 長崎-諫早が80円高い560円に 来年4月から、29年ぶり

2024/07/20 [11:00] 公開

県内のJR運賃・料金改定

県内のJR運賃・料金改定

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JR九州は19日、来年4月1日から運賃全体で平均15・0%値上げする改定を国土交通省に申請した。初乗り普通運賃を現在の170円から30円値上げし、200円とする。値上げは消費税増税時を除けば1996年1月以来29年ぶりで、株式上場後では初めて。
 申請が認可されれば、普通運賃は平均14・6%の引き上げとなる。通勤定期は割引率も見直し30・3%、通学定期は16・0%上がる。
 新型コロナウイルス感染拡大を契機とした在宅勤務の浸透や、電気料金の高騰に加え、毎年のように発生する災害からの復旧費が経営の重荷となった。
 JR九州は年間168億円の増収を見込んでおり、鉄道の維持に向けた設備投資や災害対策、社員の待遇改善に充てる。古宮洋二社長は福岡市で記者会見し「安全やサービスを守るために必要」と理解を求めた。
 国交省が今年4月に見直した鉄道運賃の根拠となる「総括原価」の算定方法では、災害で今後見込まれる損失をコストとして盛り込めるようになった。JR九州では過去10年間で年平均23億円の復旧費用がかかっている。
 九州新幹線(博多-鹿児島中央)の特急料金は短距離の自由席利用を除いて平均12・4%の値上げ。西九州新幹線(長崎-武雄温泉)も同じ水準で改定申請したが、2022年9月の開業から間もなく、利用の定着を図るとの理由で特急料金部分を据え置く。在来線特急料金は改定しない。
 長崎線の長崎-諫早は、普通運賃が現行より80円高い560円となる。通勤定期(1カ月)は4090円高い1万8560円に、高校生の通学定期(同)は1330円高い9660円にそれぞれ引き上げる。西九州新幹線と在来線特急をリレー形式で乗り継ぐ長崎-博多は、普通運賃を440円値上げし、特急料金(据え置き)と合わせて6490円にする。
 JR九州運賃・料金お問合せセンター(電050・3358・3315、午前10時~午後5時半)。