竹パウダー使ったキノコ栽培で特許 諫早農業高、放置竹林対策研究に取り組む

2025/03/02 [11:30] 公開

特許を取得した食品科学部の部員たち=諫早農業高

特許を取得した食品科学部の部員たち=諫早農業高

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長崎県立諫早農業高(諫早市立石町、前田達彦校長)の食品科学部が竹粉を使ったキノコの菌床栽培技術で特許を取得した。栄養源となる米ぬかに竹粉を70%加えた時に収量やうま味成分が増加することを発見。同校の特許はミカンの皮をシイタケ栽培に活用する研究で取得した2019年度に続き2回目。
 同校では、全国的に増加している放置竹林の対策の研究に7年前から取り組んでいる。同部の「菌床栽培ヒラタケの子実体成分との関係」研究では、菌床で一般的に栄養源として使われる米ぬかに、パウダー化した竹を添加。研究に3年かけ、70%の割合で加えた時に、2倍以上の収量が上がり、うま味成分のグアニル酸が100グラム中400ミリグラムから700ミリグラムに上がることを突き止めた。この研究は、本年度の第68回全国学芸サイエンスコンクール(旺文社主催)自然科学研究部門で銀賞に輝いた。
 先輩たちの偉業を目標に、特許取得に挑戦しようと昨年4月に出願。初めての挑戦では既存の特許にかぶる部分があるとして却下されたが、生徒たちは諦めることなく内容を精査し、昨年末に再度挑戦。2月18日に特許庁から、審査通過の知らせを受け取った。
 部長で3年の濱﨑紫萌さんは「一度却下されているので、通過はとてもうれしい。なぜ竹の添加割合が70%の時に収量やうま味成分アップなどの効果が最大になるのか、後輩たちには今後も研究を続けてもらえれば」と笑顔で話した。
 同部では、研究を通じ放置竹林問題の解消につなげたいと、事業化を検討する企業などには無償で特許技術を提供したいとしている。