壱岐市、避難民受け入れ決定 地元在住ウクライナ人女性「優しさに感謝」

2022/04/06 [11:30] 公開

ウクライナ支援の募金箱を持つ小野ヤーナさん=壱岐市石田町、マリンパル壱岐

ウクライナ支援の募金箱を持つ小野ヤーナさん=壱岐市石田町、マリンパル壱岐

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 長崎県壱岐市は、ウクライナ出身で同市在住の小野ヤーナさん(39)の要請を受け、ロシアから侵攻を受けるウクライナの避難民受け入れを決めた。住居を提供するなどして人道支援する。
 ヤーナさんは2020年9月に日本人の夫と子ども2人の家族4人で同市に移住。外国語指導助手(ALT)として中学校で英語を教えている。21年4月にはウクライナや周辺国の障害者を支援するNPO法人「Beautiful World」を立ち上げ、今年2月、ロシアの侵攻が始まると、支援の問い合わせが相次ぎ、支援活動にも力を入れるようになったという。
 ウクライナ大使館の要請を受けて避難民の受け入れ先を探す活動を始め、3月30日には同市の白川博一市長を訪ね、支援を求める要請書を手渡していた。
 市は4町庁舎に「ウクライナ人道危機救援金」の募金箱を設置。難民受け入れについては当面、市営住宅を提供し、民間の協力を得ながら住居を確保する。国からの支援情報も提供し、同団体をはじめ、民間団体などと連携して対応する。
 市の支援決定について、ヤーナさんは「市や壱岐の人たちの優しさに感謝したい。避難民の支援活動が県や他の地域に広がるとうれしい。今後も必要に応じて避難者のサポートを続けていきたい」と話した。

◎県内5市が意向 住居確保など準備 意思疎通に不安も

 ウクライナ避難民の支援について、長崎新聞が県内21市町に尋ねたところ、壱岐のほか、長崎、佐世保、諫早、大村の4市も受け入れる意向を示し、住居確保など準備を始めている。庁舎などに募金箱を設置している市町も多い。
 長崎市国際課によると、同市は家具などを備えた民間賃貸住宅への入居を軸に調整中。避難してきた子どもが地元学校に通う場合、相談員を派遣して学習をサポートすることも検討している。
 ただ複数の市が受け入れ時のコミュニケーション面での不安を挙げ、大村市幹部は「市内にウクライナ国籍の人は住んでおらず、通訳をどう手配するのかも課題」としている。
 県国際課によると、生活や医療、仕事などに関する県外国人相談窓口は、ウクライナ語でも受け付け中(要予約)。