長崎県諫早市本町にあり、中心商店街に残る歴史的建造物として親しまれてきた旧十八親和銀行諫早支店(鉄筋コンクリート2階建て、1931年築)の建物と土地について、地元を拠点にガス事業などを展開する九州ガスホールディングス(HD)は10日、取得のための売買契約を同行と交わした。契約は15日付。同社は現在、津久葉町にある本社機能を2階部分に移すほか、1階部分は市民の交流の場として開放し、中心市街地のにぎわい創出につなげたい考えだ。
同行によると、建物は延べ約千平方メートル、敷地は約1900平方メートル。元々は旧諫早銀行本店だった建物で、1942年からは旧十八銀行諫早支店、2020年10月からは旧十八親和銀行諫早支店として使用された。店舗統合に伴い、21年7月、八坂町の近隣支店に移転(店舗内店舗方式)し、建物は閉鎖されていた。現存する同行支店のほかの建物と比較しても最も古く、「正面にある4本の列柱や分厚い石材外壁を取り入れた重厚な銀行建築。直線的な窓など典型的な昭和初期の面影も残す」などとして、県の「まちづくり景観資産」にも登録されている。
九州ガスHDは企業の地域貢献として建物を保存、維持したいと考え、購入を同行に申し出ていた。今後、耐震補強をし、諫早銀行時代の内装に可能な限り復元した上で活用を図る。
2階部分は本社機能を移し、約40人が働く場となる。1階部分の具体的な活用策は決まってないが、栗林宏光社長は「景観をしっかり維持し、文化や歴史を残したい。従業員が働きやすく、市民が使いやすい建物にしたい」と話した。同行は「(店舗統廃合に伴う)不動産処理は、地域のためにということを念頭に置いている。こうした有効活用はありがたい」としている。
旧十八親和銀諫早支店 九州ガスHDが取得 一部開放、にぎわい創出へ活用
2022/03/11 [12:30] 公開