ビニールハウスが続く小道に突然現れる紺碧(こんぺき)の一軒家。レストラン「villa del nido(ヴィッラ・デル・ニード)」のドアを開けると木のぬくもりが伝わる空間が広がった。実家そばに店を構えて6月で10年を迎える。
店名はイタリア語で「ふるさとの別荘」。「たくさんの人がここに帰ってくるようなレストランでありたい」という願いを込めた。
雲仙市国見町生まれ。東京の大学を卒業後、福岡で料理の道へ。都会の人に農業を楽しんでもらう「アグリツーリズム」のイタリアンレストランで働き、無農薬野菜だけを使う料理のおいしさに驚いた。26歳でイタリアへ渡り、ミシュラン一つ星店などで修業した。
1年後、福岡のカフェに勤め、サーフィンをたしなむ料理人たちに影響を受けた。海辺でごみ拾いをするなど自然を守る意識に触れるうちに「故郷で自然に向き合うことで、自分の料理を作れるのではないか」との考えが固まっていった。32歳で帰郷。2015年に店をオープンした。
メニューはコース料理だけで1500円から始めた。翌年3500円に値上げすると客から「高い」と言われ、集客に苦しんだ。それでも「いいものを作ればお客は来る」と信じた。
他店を食べ歩き、納得のいく素材を使い、味や盛り付けを研究。自分だけの料理を追い求めた。努力は実を結んだ。「独自のアイデアを加え、モダンで軽い仕上がり」と評価され、開店4年でミシュラン一つ星を獲得。「ミシュランガイド福岡・佐賀・長崎2019」に掲載され「知ってもらうきっかけになった」。22年にはジャパンタイムズが選ぶ「日本のレストラン10店」に選ばれた。
地元産中心の食材にこだわる。野菜はすべて近所の「竹田かたつむり農園」で仕入れている。農薬や化学肥料を使わず、種を採って育てる在来種野菜が多い。その一つ「雲仙こぶ高菜」の種をマスタードに加えることも。発酵させたジビエ(野生鳥獣肉)や鶏肉をソースにも使う。南島原産の極細手延べそうめんも取り入れる。
さまざまな味や食感を提供しながらも「食材に『人間が少し寄せる』くらいの方がすてき」と考え、仕上げ方はさりげない。
「毎日、この味でいいのか自問自答する。できることなら一生、料理人でいたい」。ここでしか味わえない一皿を-。探求の旅は続く。
店名はイタリア語で「ふるさとの別荘」。「たくさんの人がここに帰ってくるようなレストランでありたい」という願いを込めた。
雲仙市国見町生まれ。東京の大学を卒業後、福岡で料理の道へ。都会の人に農業を楽しんでもらう「アグリツーリズム」のイタリアンレストランで働き、無農薬野菜だけを使う料理のおいしさに驚いた。26歳でイタリアへ渡り、ミシュラン一つ星店などで修業した。
1年後、福岡のカフェに勤め、サーフィンをたしなむ料理人たちに影響を受けた。海辺でごみ拾いをするなど自然を守る意識に触れるうちに「故郷で自然に向き合うことで、自分の料理を作れるのではないか」との考えが固まっていった。32歳で帰郷。2015年に店をオープンした。
メニューはコース料理だけで1500円から始めた。翌年3500円に値上げすると客から「高い」と言われ、集客に苦しんだ。それでも「いいものを作ればお客は来る」と信じた。
他店を食べ歩き、納得のいく素材を使い、味や盛り付けを研究。自分だけの料理を追い求めた。努力は実を結んだ。「独自のアイデアを加え、モダンで軽い仕上がり」と評価され、開店4年でミシュラン一つ星を獲得。「ミシュランガイド福岡・佐賀・長崎2019」に掲載され「知ってもらうきっかけになった」。22年にはジャパンタイムズが選ぶ「日本のレストラン10店」に選ばれた。
地元産中心の食材にこだわる。野菜はすべて近所の「竹田かたつむり農園」で仕入れている。農薬や化学肥料を使わず、種を採って育てる在来種野菜が多い。その一つ「雲仙こぶ高菜」の種をマスタードに加えることも。発酵させたジビエ(野生鳥獣肉)や鶏肉をソースにも使う。南島原産の極細手延べそうめんも取り入れる。
さまざまな味や食感を提供しながらも「食材に『人間が少し寄せる』くらいの方がすてき」と考え、仕上げ方はさりげない。
「毎日、この味でいいのか自問自答する。できることなら一生、料理人でいたい」。ここでしか味わえない一皿を-。探求の旅は続く。