長崎県史跡「島原城跡」 国史跡指定を申請、年内審議へ 江戸前期の石垣、堀残る

2024/09/21 [10:30] 公開

長崎県島原市教委が、県史跡「島原城跡」(島原市城内1丁目)の国史跡指定を文部科学相に申請したことが20日、分かった。年内にも文化審議会で審議される見通し。市は今年を築城400年と位置付けて記念事業を展開中で、国指定文化財への「格上げ」が期待される。
 市教委などによると、島原城は初代島原藩主の松倉重政が、江戸前期の1618年から約7年をかけて築城したとされる。明治維新に伴い廃城となり、明治初期に天守閣を解体したが、築城当時の石垣や堀が残る。1964(昭和39)年に天守閣を再建した。
 1637年の島原・天草一揆(島原の乱)では一揆軍に攻められた。市教委によると、江戸時代に攻城戦があった城は数少ないという。1792年の雲仙・普賢岳噴火に伴う地震で眉山が崩壊した「島原大変」で被災したが、石垣が数カ所崩れた程度で持ちこたえた。
 県教委は2016年、石垣が残る本丸、二の丸跡など約7万平方メートルを県史跡に指定した。市教委は国史跡指定を目指し、本丸の地下をレーダー探査するなど調査を継続。8月下旬に国史跡指定の意見具申書を、県教委を通じて国に送った。
 古川隆三郎市長は「城は島原のシンボル。あらためて歴史的価値を全国に発信し、今後の保存に向けて国のバックアップを受けることができれば」とコメントした。
 文化庁によると、国史跡に指定されている県内の城跡は原城跡(南島原市)など5件。