一塁ベースで笑っていた。二塁への盗塁を決め、野手のタッチが顔に入ると「痛いよ」みたいな感じでまた笑った。鋭い打球が外野に飛ぶ。迷わず本塁を狙い、猛然とスライディング。8対7の“ルーズベルトゲーム”で本塁打2発と決勝のホームイン。ヒーローが寝転んだまま両手を突き上げる▲何をやっても絵になり、活躍はどんどん上書きされて、少し前のゲームはすぐに“旧聞”になってしまう今季の大谷翔平選手だが、印象的なのは周りの誰よりも楽しそうな笑顔だ▲もともと、好きなスポーツがそのまま職業になった幸せな人たちなのだし、投げても打っても走っても「超」の付く一級品、そりゃ楽しくて当たり前、とばかりは言えまい。プロにはプロの、超一流には超一流なりの苦労や苦悩がきっと▲笑顔の秘密はさておき、野球とはこれほど楽しいスポーツだったか、と再認識する思いだ。試合の中継が楽しみで、時差の都合で早起きに…そんなファンも多いはず▲さて、こちらは時差のない、ぐっと身近な野球の話。夏の甲子園切符を争う高校野球の県大会があす開幕する▲今年の参加チーム数は52。熱戦を期待したい。背番号は「1」、打線でも中軸-そんな“うちの二刀流”は何人いるだろう。楽しそうな選手やチームやプレーが多いといい。(智)
楽しい野球
2021/07/07 [11:45] 公開