東京五輪代表選考会を兼ねた陸上の日本選手権最終日は27日、大阪市のヤンマースタジアム長居で行われ、女子5000メートルは廣中璃梨佳(日本郵政グループ、大村市出身)が15分5秒69で初優勝を飾り、2位の新谷仁美(積水化学)とともに、1万メートルに続いて東京五輪代表となった。
この種目で既に代表入りしていた田中希実(豊田自動織機TC)が3位。田中は800メートルも出場して、優勝した卜部蘭(積水化学)から0秒76遅れの3位だった。
◎「本命」で快勝も反省の言葉
「本命」と位置付けてきた5000メートル。五輪参加標準記録は既にクリアしている。廣中(日本郵政グループ)は「自分のレースに徹して」15分5秒69で初優勝した。1万メートルに続いて2枚目の五輪切符獲得。だが「本命」だからこそ、なのか。ゴール後の笑顔は少なく「積極的に行くという部分は良かったけれど、最後のスパートを掛けられずに悔しい」と反省の言葉が続いた。
この種目で既に五輪出場を決めている田中(豊田自動織機TC)、1万メートルの日本記録を持つ新谷(積水化学)ら、日本女子長距離界の精鋭がそろったこの日。その中で「相手のことは気にせず、自分のレースに徹した」
スタートからペースメーカーの後ろにつき、落ち着いてレースを進めた。勝負に出たのは3000メートル付近。「ここから自分のペースで行こう」。思い切ってライバルたちを引き離すと、最後は2位の新谷に約8秒差をつけてゴールした。
この快勝劇でも納得できなかったのは「世界で戦える選手になる」という追い求めてきたランナー像があるから。「国際大会では残り2000メートルからが勝負どころ。まだ戦えるレベルじゃない」。本番まで約1カ月。「ラストを少しでも修正して、けがなく、笑顔でスタートラインに立ちたい」。20歳で立つ夢舞台は、理想の自分への大きなステップになる。