自治体が発令する「避難勧告」の廃止や「線状降水帯情報」の運用開始など、災害情報が大きく変化した。3年連続で大雨特別警報が発表され、毎年大雨の被害に見舞われている本県。今年は過去2番目に早い梅雨入りを迎え、自治体や気象台は情報の周知や注意喚起に余念がない。
災害対策基本法の改正により、自治体が発令する避難情報が変更された。
5段階で表す警戒レベルのうち、レベル4に当たる「避難勧告」は廃止し、「避難指示」に一本化。レベル3の「避難準備・高齢者等避難開始」は「高齢者等避難」に、レベル5の「災害発生情報」は「緊急安全確保」にそれぞれ変わった。
県危機管理課の担当者は「避難指示までに避難を完了する必要がある」と強調。「緊急安全確保」発令時には既に災害が発生している可能性が高く、命を守る行動が必要になる。
避難情報が出ても避難しない被災者が多数いたことが一因となり、簡潔な情報に改正された。運用は5月下旬に始まり、既に九州各地で「避難指示」が発令されている。県の担当者は県民への周知を課題に挙げ、「安全な場所に住む人はその場にいることも避難になる。日ごろから周辺地域の災害リスクを確認してほしい」と話す。
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気象庁は今月17日から「顕著な大雨に関する気象情報」の運用を始めた。同じ場所に強い雨が降り続き、豪雨災害の一因となる「線状降水帯」を確認した際、「災害発生の危険度が急激に高まっています」などと呼び掛ける。
長崎地方気象台によると「3時間に降った雨の量が100ミリ以上で、その面積が500平方キロメートル以上」などの基準を満たせば▽南部▽北部▽五島▽壱岐・対馬-のエリアごとに発表する。雨が弱まっても撤回や解除はない。この基準を県内の過去の例に当てはめると、近年では大村市で複数の河川が氾濫・護岸損壊するなどした昨年7月6日の豪雨が該当するという。
ただ、この情報は予報ではなく危機感を伝えるためのもの。気象台は「この情報が出たときには既に避難が手遅れになっている恐れがある。発表を待ってはいけない」と注意を促す。また、情報対象外の地域でも災害が発生している恐れがあるとしている。