衛星設計コンテストで最優秀! 長崎西高物理部の戸締まり確認システム、命名は人気アニメ映画から

長崎新聞 2025/03/15 [12:45] 公開

ジュニア大賞を受賞した物理部2年の4人=長崎市、長崎西高

ジュニア大賞を受賞した物理部2年の4人=長崎市、長崎西高

  • ジュニア大賞を受賞した物理部2年の4人=長崎市、長崎西高
  • 水に浮かべた模擬衛星の模型。自身で向きを調整してカメラで校舎の窓の開閉を確認する(長崎西高物理部提供)
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宇宙をテーマにした研究のアイデアや設計構想を学生、生徒から募集した昨年の第32回衛星設計コンテストで、長崎市の県立長崎西高物理部の生徒が、高校生・高専生対象部門の最優秀賞に当たるジュニア大賞に輝いた。人工衛星と同様の機能を持つ「地上模擬衛星」で建物の窓の開閉を確認し、閉め忘れを無線で知らせるシステム「戸締まり状況確認模擬衛星 SUZUME」を設計、制作した。

 受賞したのは同高物理部2年の麻生賢太郎さん、樋渡峻也さん、高原大和さん、藤田晃成さん=いずれも(17)=。同コンテストは一般財団法人日本宇宙フォーラム、宇宙航空研究開発機構(JAXA)など9団体の主催で毎年開いている。

 4人は高校生向けに、インターネットなどで手軽に入手できる材料で作れる教材用模擬衛星の開発を計画。昨年6月から研究を開始し、同11月に東京都で開かれた最終審査会で発表、同大賞に選ばれた。

 「SUZUME」は小型人工衛星とほぼ同じ大きさで高さ10センチほどの直方体型の保存容器に、市販の小型コンピューター3個、地球の磁場を利用して衛星の姿勢制御を行う電磁石「磁気トルカ」2本などを収納。太陽光パネルで充電したモバイルバッテリーで動く。

 水を張ったおけに浮かべて使い、無線で接続したパソコンから戸締まり確認の開始指示を出すと、自身で向きを調整して目標の方角を向いて静止し、カメラで窓の写真を撮影。窓が閉まった状態の写真と比較して窓枠の位置から開閉を判定し、結果をパソコンに送って「OPEN」か「CLOSE」かを知らせる仕組み。

 人工衛星が災害時に、以前撮影した画像と比較して被害などを検知する仕組みをヒントに考案。生成人工知能(AI)をプログラミングに活用し時間短縮を図った。日本の人工衛星に草木や野鳥の名前がよく付けられることや、アニメーション映画「すずめの戸締まり」から「SUZUME」と名付けたという。

 コンテストでは、身近に入手できる材料で開発した発想や、実際に制作して動作確認した過程が実践的な点などが評価された。プロジェクトマネジャーを務めた麻生さんは「長崎の高校生が人工衛星作りに興味を持ち、知識を高められる教材になったら」と語った。