新型コロナウイルス感染者の出席が複数判明した社会人サッカーチームの懇親会に参加した長崎県佐世保市の市議の一人が、感染経路などを調べる市保健所の疫学調査への協力を拒否していたことが18日、分かった。保健所はチームに出席者名簿の提出を求めたが、市議が「風評被害を受ける」などとして提出を認めず、十分な調査ができなかった。
市やチームの関係者によると、市議は選手としてチームに所属。懇親会は大会優勝を祝うため、4月上旬に市内のホテルで開き、20人ほどが出席し会食したという。テーブルを三つに分散するなどの感染症対策を講じたが、後日、市議を含め、少なくとも3人の感染者が確認された。
保健所はクラスター(感染者集団)の発生も懸念し、チームに出席者名簿の作成と提出を求めた。しかし、電話窓口となった市議は「出席者が風評被害を受ける」などの理由で拒んだという。チームは名簿を提出する方針だったが、市議の了解を得られず、結局提出しなかった。
保健所の報告を受け、朝長則男市長は崎山信幸市議会議長に相談。議長は市議に事情を聴いた。
市議は取材に対し「私は1人の選手にすぎず、知らない人も多くいたので、対応はチーム代表にお願いしていた。(自分以外の)感染者も把握していなかった」と主張。当時、市議会は10人以上の会食を自粛すると決めていたが、「出席者が少ないと言われ、呼ばれて参加した。私のテーブルには6人しかいなかった」と話している。