スマートフォンカメラ向け半導体「CMOS(シーモス)イメージセンサー」を生産する長崎県諫早市津久葉町のソニーセミコンダクタマニュファクチャリング長崎テクノロジーセンター(長崎TEC)に、製造棟としては5棟目となる新工場が完成、稼働した。世界的な需要の伸びに対応するため、ソニーグループが整備した。本県が人口減に直面する中、若者の地元定着や経済効果が期待されている。
長崎TECは諫早中核工業団地にあり、敷地面積約26万9千平方メートル。従業員は派遣も含め約2900人(4月1日時点)。ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング(熊本県菊陽町)によると、スマホや車載用などに使われるイメージセンサーは国内では長崎や熊本、大分、山形の4拠点で生産。長崎はスマホ向けに特化している。
イメージセンサーの月間生産は4拠点で計13.1万枚(3月末時点)。スマホ向けに限ると、世界シェアは57%(2019年度、金額ベース)とトップを占める。「カメラの高機能化に伴い、イメージセンサー自体が進化している。高性能の製品を作るためには、それなりの設備が必要」だとして、生産設備の拡充を図った。イメージセンサーの生産体制を強化するため、ソニーグループは長崎の新工場も含め、4拠点全体に18年度からの3カ年で計約5800億円を投資した。
新工場は20年3月に着工。6階建て延べ約4万8千平方メートル。5棟の中では2番目の規模となる。6月から量産体制に入る。新工場稼働に伴う今後の生産や雇用などの計画は示していない。
現地で20日、竣工(しゅんこう)式があり、関係者ら約100人が出席。ソニーグループの吉田憲一郎会長兼社長はあいさつで「日本から世界に向けた生産体制をさらに強化する。長崎がつくり出すイメージセンサーを世界中のお客さまに提供していけるよう、一丸となって取り組む」と決意を示した。来賓の中村法道知事は半導体関連産業を県の重点産業分野に位置付け、誘致・育成に全力を注いでいることに触れ、「県内の半導体産業の発展に向け、今後ともお力添えいただきたい」と述べた。
ソニーグループの20年度連結売上高(2月時点の見込み)は約8兆8千億円で、うち4拠点のイメージセンサー事業が約8700億円を占める。