長崎市の三菱重工業長崎造船所で3日、海上自衛隊の新型多機能フリゲート艦(FFM、3900トン)1番艦の命名・進水式があり、「もがみ」と名付けられた。コンパクト化により少人数で運用でき、護衛艦として初めて機雷掃討機能を備える。同造船所での護衛艦の進水は約3年半ぶり。
海自によると、FFMは長崎で6隻、岡山県玉野市の三井E&S造船で2隻を建造する。将来は22隻に増やす方針。昨年11月に玉野で進水した2番艦「くまの」と合わせた建造費は計約1055億円。エンジンの調達が遅れ、進水が2番艦の後になった。来年、防衛省に引き渡す。
全長133メートル、全幅16メートル、喫水4.7メートル。従来型より全長が短く、幅広で浮力が向上。サンゴ礁など浅い海域でも行動できる。哨戒ヘリSH60Kを1機搭載。掃海・輸送ヘリMCH101も積めるが、陸自の輸送機オスプレイの着艦は想定していないという。
外観はレーダーが付く大きなマストが特徴。全体的に表面の凹凸が少なく、いかりなど装備を内側に格納しステルス性能を高めた。ガスタービンエンジン1機、ディーゼルエンジン2機を搭載し、速力は約30ノット。平時の警戒監視に加え、対潜水艦戦や対空戦、対水上戦のほか、掃海艦艇が従来担う対機雷戦(敷設、除去、捜索)にも活用する。
乗員は約90人(うち女性約10人)。同規模艦の150人と比べ省人化した。人手不足を背景に、複数チームが交代で乗艦する「クルー制」を採用し、乗員の負担軽減と艦の稼働率向上を図る。
式は西立神町の本工場であった。出口佳努(かつと)海自佐世保地方総監が支綱を切断すると、汽笛と花火、軍艦マーチが響く中、傾斜のある船台から艦が滑り降り、水しぶきを上げて海に浮かんだ。