慢性疲労症候群 原因遺伝子の変化を発見 長崎大の研究チーム、新たな治療法で症状改善

2025/01/08 [10:30] 公開

古賀智裕・長崎大講師(リウマチ・膠原(こうげん)病内科学)の研究チームは7日、慢性疲労症候群(CFS)の原因となる遺伝子の変化を発見し、医療用医薬品と機能性食品を組み合わせた治療で症状が改善したとする研究成果を発表した。
 CFSは原因不明の激しい全身の倦怠(けんたい)感に襲われ、日常生活を送れないほど重度の疲労感が6カ月以上続く。古賀講師は「CFSの症例で遺伝子との関連が示唆されるのが分かったのは初めてではないか」と話している。
 研究チームは県内の30代女性患者の遺伝子検査を実施。細胞内で体のエネルギー源をつくるミトコンドリアの働きを調整するとされる遺伝子ADCK1の一部が欠け、変化していることを突き止めた。このためミトコンドリアの働きを支えるタンパク質がうまく作られず、疲れやすさにつながると考えられるという。
 治療では体のエネルギー生産を助ける医療用医薬品ユビキノン、機能性食品の天然アミノ酸5-アミノレブリン酸(5-ALA)とクエン酸第一鉄ナトリウム(SFC)を併用。ユビキノンはコエンザイムQ10と呼ばれ、サプリメントとしても知られる。
 2020年9月から4年間、量を調整しながら投与を続けたところ、自宅でほぼ寝たきり状態だった女性は買い物に出掛けられるようになるまで改善。「5-ALA/SFC」の量を減らすと症状が悪化することも確認され、効果を発揮していることが分かった。副作用も出ていないという。
 研究論文は昨年12月、インターネットの国際学術誌イムノロジカル・メディシン(免疫医学)に掲載された。
 古賀講師は「似たような症状で悩む患者さんの治療に役立てられるよう治験などを重ね、実用化に向け進めていきたい」と語った。