全国の地方新聞と共同通信が表彰する「第11回地域再生大賞-コロナ禍を越えて」で地域の未来賞兼九州・沖縄ブロック賞に選ばれた一般社団法人「東彼杵ひとこともの公社」(東彼東彼杵町)。人口8千人以下の小さな町の若者たちが、発想力と機動性を生かし、地域ににぎわいとブランド価値を生んだ。世代、業種を超えたつながりは、新型コロナ禍でも力を発揮。地域振興の新たな形として高く評価された。
県内で2番目に人口が少ない町。止まらない人口流出や疲弊する地域経済に危機感を抱いた青壮年世代が、同町の廃倉庫を改修するプロジェクトに乗り出した。2015年に交流拠点「Sorriso riso(ソリッソ・リッソ)千綿第三瀬戸米倉庫」をオープン。カフェやアンティークショップを出店し、若年層を呼び込む一方、「次世代の公民館」をコンセプトに、まちづくり会合や移住者支援の拠点として活用した。
17年に「東彼杵ひとこともの公社」として法人化。ソリッソを中核に、若い世代や移住者の開業をサポートした。フレンチレストラン、パン屋、カフェ、ゲストハウスなど5年間で20店舗の開店に関わり、一帯ににぎわいが生まれた。
公社のメンバーは森一峻代表理事(36)を含む約20人。会員制交流サイト(SNS)などで緩やかにつながる仲間の層は厚い。新型コロナ禍では、来客が減った飲食店のため、宅配サービスのシステムを構築。多様な人々が集うネットワークと機動力が発揮され、1カ月で1730食を届けた。
2月からは九州電力と組んだ商品開発プロジェクトも本格化する。森代表理事は「これまで関わってくれた人たち全員でいただいた賞。今後も新しい取り組みを進めていくので、糧にしていきたい」と喜びを語った。