自動運航フェリー「それいゆ」進水 三菱長崎造船所 就航後に実証試験へ

2020/12/23 [23:31] 公開

「それいゆ」と命名された大型高速フェリー。自動運航システムを導入する=長崎市、三菱重工業長崎造船所

「それいゆ」と命名された大型高速フェリー。自動運航システムを導入する=長崎市、三菱重工業長崎造船所

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 長崎市の三菱重工業長崎造船所で23日、大型高速フェリーが進水し「それいゆ」と命名された。開発中の自動運航システムを導入し、来年7月の就航後に実証試験を行う。
 新日本海フェリー(大阪市)が2隻発注したうち、8月に進水した「はまゆう」に続く2隻目。関連会社の東京九州フェリー(北九州市)が横須賀-新門司の新航路に同時就航させる。

 受注した三菱造船(横浜市)によると、同システムは「それいゆ」にだけ搭載する。離岸から接岸直前までの操船を人工知能(AI)も採り入れ自動化。他船舶との衝突や座礁を回避する技術の確立を目指す。陸上からも遠隔操作できる。
 船会社は定期運航日(週6便)以外の日曜に実証試験に協力する方針。「自動運航の安全性や有効性が確認されれば実際に運用したい」としている。
 仕様は「はまゆう」とほぼ同じ。全長222メートル、幅25メートル、総トン数1万5400トン。時速52キロ。旅客は定員268人。レストランや露天風呂を備える。貨物はトラック154台、乗用車30台を積載できる。午前0時前に出発、翌日午後9時ごろ到着する所要約21時間のダイヤを予定しており、関東-九州間の3日目配送が可能となる。
 長崎市東立神町の本工場のドックであった式には、船会社の入谷泰生社長や三菱造船の北村徹社長らが出席。来賓の歌手、小柳ルミ子さんが支綱を切断すると、くす玉が割れ風船が舞い上がった。