対馬に「移住」した落語家 島内外を行き来し活動「ネタになる」、毎月地域で落語会も 長崎

2025/03/11 [12:15] 公開

2月の落語会で、対馬にちなんだ話などを披露するこしらさん=対馬市厳原町、コワーキングスペースAGORA対馬

2月の落語会で、対馬にちなんだ話などを披露するこしらさん=対馬市厳原町、コワーキングスペースAGORA対馬

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2021年に長崎県対馬市に住所を移した落語家で立川流真打、立川こしらさん(49)。毎月、島内外を行き来しながら活動しているこしらさんに思いを聞いた。

 こしらさんは千葉県出身。「地方にも感度の高い人がいるのでは」と考え、東京以外でも定期的に落語会を開いた。あちこち飛び回るうちに、こんな思いを抱き始めた。「住民票をどこに置いても一緒だな」。そんな折りの新型コロナ禍。エンターテインメント界も打撃を受けた。

 苦しむ仲間を気にかけ、エンタメ関係の補助金を調べるうち、有人国境離島法(国境離島新法)の支援メニューにある雇用機会拡充のことを知った。これに魅力を感じ「移住」したという。

 なぜ対馬だったのか。こしらさんは「多分(ネットの)検索でクリックしたのが対馬。適当にクリックしてたどり着いて」とけむに巻く。結局、自身は使わなくても生計を立てられたのに、どうして実際に移り住んだのか。「マインド的に『ネタになる』というのがあるんです。落語家ですから」。どこまでが本音か。さらに探りたくなるような笑顔を浮かべた。

 毎月、対馬で落語会を開くこしらさん。2月7日は悪天候による交通の乱れに巻き込まれたエピソードを披露。船か飛行機でしか島外に出られない「対馬あるある」に観客約20人も共感の笑み。都会とのネット環境の差をいじる一幕もあり、展開は多様だ。

 対馬の人に「ライブ体験をしてほしい」とこしらさん。「お客の反応などで(内容、展開は)変わってくる。対馬の会でしか触れられないものを感じてほしい」。

 次回は13日午後6時半、同市厳原町のコワーキングスペースAGORA対馬で開催。一般1500円(市民は千円)、高校生以下は無料。問い合わせは同スペース(電0120・147・222)。