キリシタン神社として知られる長崎市下黒崎町の枯松(かれまつ)神社で3日、枯松神社祭(実行委主催)があり、潜伏キリシタンを先祖にもつ黒崎地区の「かくれキリシタン」「カトリック信者」「仏教徒」が一堂に会した。今年は初めて読経され、神社にまつられる共通の指導者サン・ジワン神父に3者それぞれの儀式で祈りをささげた。
神社祭は宗教の融和を図ろうと2000年から開き21回目。今年は新型コロナウイルス感染防止のため規模を縮小し、関係者約40人で開いた。カトリック黒崎教会の元主任司祭、野下千年神父(83)は聖書を奉読。カトリックに復帰せず禁教期の信仰を継続しているかくれキリシタンの帳方(指導者)、村上茂則さん(70)は代々伝わるオラショ(祈り)を奉納した。
潜伏キリシタンを黙認してきたとされる天福寺(同市樫山町)の塩屋秀見住職(67)は、実行委の依頼で初めて読経。「250年間、命懸けで信仰を守ってきた人たちへの恩返し。供養させていただきたい」と話した。神社を囲む森は木漏れ日と木々のざわめき、線香の香りに包まれた。
実行委代表の村上さんは「共通の指導者をたたえる神社祭に、3者でやる本来の姿がみられた」と感慨深げだった。
長崎・下黒崎 枯松神社祭 かくれキリシタン、カトリック、仏教 3者が一堂に
長崎新聞 2020/11/04 [14:30] 公開