北朝鮮や中国との軍事的緊張が高まる中、基地の街・佐世保でも、陸上自衛隊水陸機動団と海上自衛隊の連携などの動きが進む。8月に着任した出口佳努・海自佐世保地方総監に課題や抱負を聞いた。
-新型コロナウイルス対策と警戒監視などの任務をどう両立するか。
佐世保に限らず、海上自衛隊をあげてさまざまな対策をしてきた。残念ながら罹患者も出してしまったが、任務遂行の前提としてコロナ対策を万全にする必要がある。今後さらに厳しくなるかもしれない環境下での仕事のため「新しい生活様式」で、厳格に対策を講じる必要がある。
-水陸機動団との連携をどう考えているか。
機動団は、海自の掃海隊群と連携する。(佐世保地方隊は)掃海隊群に所属する艦船への燃料補給や整備をサポートするのが大きな仕事。互いがどんな能力を持ち、どんな考えを持っているか相互理解が大事だ。その上で、足りない機能があれば支援していく。
-安全保障関連法が成立して今年で5年。米軍との連携は。
(関連法を)一つのバックボーンとして訓練や日々の協力関係を推進したい。新型コロナが落ち着けば、自衛隊の家族と米海軍の家族も交流できればと考えている。
-海自最大の「いずも型」護衛艦などが係留できる大型岸壁などを佐世保市の崎辺東地区に整備する計画が進められている。
佐世保は、日本の周辺海域の中で最も周辺国の動きが活発な東シナ海を目前にした基地。崎辺に大型艦船を係留し、補給・整備支援をできるのは大きな能力向上になる。より有効な支援基地になることを期待している。
-抱負を。
佐世保の皆さんが海自の任務を理解し、応援してくださっているから日々の仕事ができる。「海自が佐世保にあってよかった」と思えるよう地元に貢献したい。引き続きご支援、ご協力をお願いしたい。
【略歴】でぐち・かつと 大阪府出身。岡山大卒。戦術航空士として経験を積み、佐世保地方総監部幕僚長、統合幕僚学校長、海上幕僚副長などを歴任。佐世保勤務は2回目。歌が好きで中学、高校、大学時代は合唱団に所属。佐世保の町を散策し地域の人と触れ合うのが目下の楽しみ。58歳。