長崎スタジアムシティ内に説明板設置へ 捕虜収容所跡地の構造物を建設中に撤去…運営側や市民有志ら協議

長崎新聞 2025/04/10 [11:30] 公開

「福岡俘虜収容所第14分所」に関する説明板の設置が検討されている場所で、リージョナルクリエーション長崎の担当者(左)から説明を受ける市民有志=長崎市幸町

「福岡俘虜収容所第14分所」に関する説明板の設置が検討されている場所で、リージョナルクリエーション長崎の担当者(左)から説明を受ける市民有志=長崎市幸町

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長崎市幸町の長崎スタジアムシティ建設中の2022年、長崎原爆で外国人捕虜らが死傷した「福岡俘虜(ふりょ)収容所第14分所」の跡地で見つかった地下構造物が撤去されていたことを巡り、市民有志と市、施設を運営するリージョナルクリエーション長崎が9日、協議した。14分所に関する説明板を敷地内に設置する方向で一致した。

 14分所があった場所からは、工事中にれんが積みの構造物などが出土。市が現地を視察し、構造物に熱線や爆風による「被爆の痕跡」を確認できないことなどから保存対象ではないと判断した。これを受け、スタジアムを整備していたジャパネットホールディングス側は22年5月までに構造物を撤去し、処分した。

 一連の経緯は昨夏に報道で表面化し、被爆遺構の保存に取り組む市民有志が市の判断を問題視。14分所跡地は今も外国人捕虜の遺族らが追悼で訪れる大切な場所だとして、市とリージョナル社を交えた3者で今後の対応を話し合っていた。

 9日の協議では、市が製作した14分所の説明板を、敷地内に設置することについて同社が了承した。設置場所は通路を想定している。リージョナル社担当者は「なるべく人目につく場所で協力したい」と述べた。

 14分所は、爆心地から1・7キロの三菱重工業長崎造船所幸町工場内にあり、原爆投下時はオランダや英国などの捕虜約200人を収容。8人が被爆死したとされる。