衆院選で公明、共産、社民の老舗3党が比例票獲得に向けた存在感発揮に苦慮している。長崎県内小選挙区で自民党に対する立憲民主党や国民民主党、日本維新の会の戦いぶりに注目が集まり、連立与党の公明は独自色のアピールに懸命だ。共産、社民は他党の陰に隠れないよう票の掘り起こしを狙う。
「目標の比例4議席を獲得するには100万票が必要。今はまだ2議席分しか見えていない」。公示直前、佐世保市であった自公合同の総決起大会。公明県本部副代表の大塚克史佐世保市議は壇上で危機感をあらわにした。
公明が比例九州で4議席を獲得したのは2000年以降の8回の衆院選のうち2回のみ。約104万票を獲得した前回21年は4人目が定数20の20番目にどうにか滑り込んだ。22年の参院選では全国比例で目標に据えた800万票に届かず、支持者の高齢化や支持母体である創価学会の組織力低下も指摘されている。
今回はさらに自民派閥の裏金事件が影を落とす。公明関係者によると、事件への支援者からの不満は根強く「クリーンな党を標ぼうしてきたのに、同じ穴のむじなと思われる」「2区の不記載候補を含めて推薦を出すのは擦り寄り過ぎだ」との嫌悪感も渦巻く。
一方で自公をつなぐ「かすがい」となってきたのはほかならぬ選挙でもある。選挙至上主義とも言える姿勢で相互依存を深め、今や公明が比例九州で目標を達成するには自民支持層の取り込みが欠かせない。「09年の政権転落が教訓だ。なりふり構ってはいられない」。公明関係者は言う。
そこで今回「より一層の協力態勢」(川崎祥司県本部代表)を敷くため、自民候補3人の後援会側から公明に推薦状を出すという「これまで聞いたことがない」(自民関係者)取り組みを試す。そもそも公明内には「自民からの票が期待通りに入っていない」との声がくすぶる。実際、前回衆院選の県内比例票で公明の約9万7千票は自民の半分にも満たない。
自民陣営には「票を確約する証文を出せ、と脅す行為だ」と反発する声があるが、公明幹部は意に介さない。「まだまだ自民から票をもらう余地はある。県内比例で12万票は取りたい」とそろばんをはじく。
「もしかしたら九州・沖縄で持っている1議席も厳しい」。共産の中西敦信長崎市議は公示前の決起集会で、こう現状分析した。自民派閥の裏金問題などをいち早く追及するなど戦う条件は悪くないとされる共産。ただ短期決戦の中、県委員会の原口敏彦委員長は「前回衆院選などと比べ運動量が追いついていない」と焦りを口にする。
県内の比例目標を4万6千票に設定。これは2議席を獲得した14年衆院選を3千票上回る強気の設定だ。中西市議は「残りの期間で現状打開する」と語る。
社民は埋没感を懸念する。前回衆院選で県内比例は約1万5千票を獲得したが、旧民主党への政権交代が起きた09年衆院選で獲得した3万8千票の4割に満たない。今回は1万7千票を目標にしているが、支持者の高齢化や労組離れは否めない。県連幹事長の坂本浩県議は「作戦という作戦はない。限りなく近づけるように頑張るとしか言えない」と話す。
「目標の比例4議席を獲得するには100万票が必要。今はまだ2議席分しか見えていない」。公示直前、佐世保市であった自公合同の総決起大会。公明県本部副代表の大塚克史佐世保市議は壇上で危機感をあらわにした。
公明が比例九州で4議席を獲得したのは2000年以降の8回の衆院選のうち2回のみ。約104万票を獲得した前回21年は4人目が定数20の20番目にどうにか滑り込んだ。22年の参院選では全国比例で目標に据えた800万票に届かず、支持者の高齢化や支持母体である創価学会の組織力低下も指摘されている。
今回はさらに自民派閥の裏金事件が影を落とす。公明関係者によると、事件への支援者からの不満は根強く「クリーンな党を標ぼうしてきたのに、同じ穴のむじなと思われる」「2区の不記載候補を含めて推薦を出すのは擦り寄り過ぎだ」との嫌悪感も渦巻く。
一方で自公をつなぐ「かすがい」となってきたのはほかならぬ選挙でもある。選挙至上主義とも言える姿勢で相互依存を深め、今や公明が比例九州で目標を達成するには自民支持層の取り込みが欠かせない。「09年の政権転落が教訓だ。なりふり構ってはいられない」。公明関係者は言う。
そこで今回「より一層の協力態勢」(川崎祥司県本部代表)を敷くため、自民候補3人の後援会側から公明に推薦状を出すという「これまで聞いたことがない」(自民関係者)取り組みを試す。そもそも公明内には「自民からの票が期待通りに入っていない」との声がくすぶる。実際、前回衆院選の県内比例票で公明の約9万7千票は自民の半分にも満たない。
自民陣営には「票を確約する証文を出せ、と脅す行為だ」と反発する声があるが、公明幹部は意に介さない。「まだまだ自民から票をもらう余地はある。県内比例で12万票は取りたい」とそろばんをはじく。
「もしかしたら九州・沖縄で持っている1議席も厳しい」。共産の中西敦信長崎市議は公示前の決起集会で、こう現状分析した。自民派閥の裏金問題などをいち早く追及するなど戦う条件は悪くないとされる共産。ただ短期決戦の中、県委員会の原口敏彦委員長は「前回衆院選などと比べ運動量が追いついていない」と焦りを口にする。
県内の比例目標を4万6千票に設定。これは2議席を獲得した14年衆院選を3千票上回る強気の設定だ。中西市議は「残りの期間で現状打開する」と語る。
社民は埋没感を懸念する。前回衆院選で県内比例は約1万5千票を獲得したが、旧民主党への政権交代が起きた09年衆院選で獲得した3万8千票の4割に満たない。今回は1万7千票を目標にしているが、支持者の高齢化や労組離れは否めない。県連幹事長の坂本浩県議は「作戦という作戦はない。限りなく近づけるように頑張るとしか言えない」と話す。