国連教育科学文化機関(ユネスコ)は、重要な文書や絵画などを保護する「世界の記憶」に、徳川家康ゆかりの「増上寺が所蔵する三種の仏教聖典叢書」を登録した。パリで開催中の執行委員会が17日決定した。一方、「広島原爆の視覚的資料―1945年の写真と映像」は議題に上らず、今回の登録は見送られた。
増上寺の仏典は、南宋から元の時代だった中国で12~13世紀に制作された2種類と、朝鮮半島にあった高麗で13世紀に作られた1種類の仏教文書群。家康が収集した総数約1万2千点からなる。15世紀以前に作られた3種類の仏教文書群が、ほぼ完全な状態で存在するのは世界でも珍しいとされる。
日本政府が仏典とともに推薦した原爆資料は執行委の議題に上らなかった。ユネスコや政府は理由を明らかにしていないが、一部の国からの異議により審査段階で手続きが停止したとみられる。
広島市と中国新聞社など報道5社が、政府に推薦するよう申請した。
原爆資料は1945年8月6日から同年末までに撮影した写真1532枚と動画2本で構成される。