「デマで店をつぶすわけにはいかない」。新型コロナウイルスの感染拡大防止対策として、思案橋横丁商店街(長崎市本石灰町)の飲食店店主らでつくる思案橋横丁会は、今月中旬から来店客の個人情報を管理するLINEアカウントの運用を開始した。「お客さまに安心して来店してもらう一方で、感染者発生時は的確な初動対策を取りたい」としている。
アカウント名は「思案橋横丁会」。来客(複数の場合は代表者)にQRコードを提示し名前、連絡先、日時、人数、店舗名-の5項目を登録してもらう。既に約60店舗が導入し、それ以外の店舗では同様の項目を記したアンケート用紙を客に配布し、個人情報を管理している。
開設の背景には今月、長崎みなとメディカルセンター(同市新地町)で発生したクラスター(感染者集団)がある。後に陽性が判明した職員らが立ち寄った会員制飲食店の名称が公表されず、店舗のデマ情報が錯綜(さくそう)した。「会員制飲食店は思案橋横丁にあるらしい」「横丁周辺で感染者が出た」
こうしたうわさなどの影響もあって、緊急事態宣言が解除されて以降は戻りつつあった客足も、クラスター発生後は再び激減。LINEの運用を発案・企画した「炭火焼きとり武将門」店長の熊谷将希さん(31)は「変なうわさ話が広まると本当に人が来なくなる。横丁としても危機感を持って対策をアピールしないといけないと思った」と語る。
一方であくまで登録は任意であり、横丁会の岩井政勝会長(59)は「思案橋横丁には県外からの観光客も多い。もし感染者が出た場合は速やかに客や自治体などと情報を共有できるようにしておきたい。当面の間はご協力をお願いしたい」と呼び掛けている。
LINE使って“情報”管理 飲食店店主ら デマ対策で協力呼び掛け 長崎・思案橋横丁商店街「店つぶすわけには」
2020/07/27 [16:00] 公開