サッカーJ2のV・ファーレン長崎が現在、単独首位と絶好調だ。手倉森監督の采配が毎試合のように的中し、第6節を終えて負け知らずの5勝1分け(勝ち点16)。たとえ劣勢になっても、層の厚さを生かして試合をひっくり返す頼もしさを見せている。
「タレントがいるからこそできる采配。選手たちに感謝したい」
2位大宮との勝ち点差を4に広げる逆転勝利を収めた19日の第6節、アウェー岡山戦。試合後の指揮官の言葉が、勝ち続けている理由を端的に言い表していた。
この試合、前半にセットプレーから先制を許すと、ハーフタイムに早速ベンチが動いた。トップ下で窮屈そうだったルアンに右サイドへのポジション変更を指示。さらに守備能力とポストプレーに優れる畑を投入した。他の選手の負担を軽減しようという意図があった。
思惑は当たり、たちまち前線が活性化。手倉森監督は畳み掛けるように次々と攻撃的な交代カードを切り、ハーフタイムに描いた「同点にできたら、3トップにして逆転する」というプランをやってのけた。
「狙い通り」のゲーム運びは、この試合に限ったことではない。第2~4節は、相手の疲れが見えた終盤に“大砲”イバルボを投入。いずれもゴールに結びつけ、勝利を呼び込んでいる。
「持っている武器がどのタイミングで一番通用するかを意識している」と指揮官。ピッチに送り込んだ選手は、第6節終了時点ですでに23人に上る。J2屈指の選手層があり、かつ彼らが額面通りの働きをできるよう緻密に計算されたベンチワークがあるからこそ、結果が伴っていると言えるだろう。
いい状態で迎える25日の第7節は3位京都とのホーム戦。2016年のJ1得点王ウタカ、V長崎でも活躍したDFバイスを擁しており、昇格を狙う上位同士の「6ポイントゲーム」としても注目される。
指揮官も「警戒心を持って、大味なゲームをしてはいけないと思っている。ライバル京都からは勝ち点3を取っておきたい」と気合が入る序盤戦のヤマ場。乗り越えれば、さらに明るい展望が開ける。