長崎大(長崎市)と準大手ゼネコン西松建設(東京)が、水力発電所の水路トンネル内部を飛びながら撮影する飛行船型調査ロボット「トンネルマンボウ」を新たに開発した。同大海洋未来イノベーション機構の山本郁夫教授らが23日、同大で記者会見し、飛行実験を公開した。従来は人が水路内に入って点検しており、老朽化が進んだり地震が起きたりした際の安全点検に役立つとしている。
トンネルマンボウは全長3メートル、直径1.2メートル。後部と下部に推進やかじ、姿勢制御用の計5個の電動プロペラが付いている。段差やカーブのある水路内をぶつからずに自動で前進し、船首のライトとカメラで、内壁に亀裂などがないか撮影して調べる仕組み。
山本教授はロボット工学専門。会見に同席した西松建設技術研究所の原田耕司首席研究員によると、2016年の熊本地震を機に、被災水路の無人調査技術の共同開発を山本教授に依頼。昨年末、全長2.6キロの水路で実験に成功した。幅2~3メートルのトンネルを、最長6キロまで調査可能という。
水力発電所の水路は狭く長距離で、下に水が流れている。水路の無人調査ロボットは水上を進む浮体型などの既存技術があるが、飛行船型は水がなくても運用可能で長距離を調査できるのが利点。国内の水力発電所関係の水路トンネルは総延長4700キロに及んでおり、同社が今後の点検に活用する。
山本教授は「マンボウのように、ゆっくり進むイメージから名付けた。安全に点検できることで、水力発電が今後進展していけば」と話した。
その名も「トンネルマンボウ」 長崎大などが水路調査ロボット開発 ふわりと空中前進 水力発電所を安全点検
2020/06/24 [12:00] 公開