ツバキ名花「玉之浦」後世に 資料編さん、発行

長崎新聞 2020/04/04 [00:03] 公開

「まぼろしの椿 玉之浦」を手にするNPO法人カメリア五島の永冶理事長=五島市内

「まぼろしの椿 玉之浦」を手にするNPO法人カメリア五島の永冶理事長=五島市内

大きい写真を見る

 五島発祥で世界的なヤブツバキの名花「玉之浦」。戦後間もなく福江島の山中で発見され、世に知られていった経緯などを後世に残そうと、ツバキによる地域振興を目指す長崎県五島市のNPO法人カメリア五島(永冶(ながや)克行理事長)が、関連資料を編さんした「まぼろしの椿 玉之浦-五島の椿の発見と将来-」を発行した。
 「玉之浦」は赤い花びらに白い縁取りがあるのが特長。永冶理事長によると、1947年に旧玉之浦町の山中で炭焼き職人が原木を発見し、73年に元町長が長崎市であった全国ツバキ展で発表した。全国的に有名になったが、原木の枝や根を切り取る人が絶えず枯死した。2世以降は挿し木などで国内外に広まり、品種改良も盛んに行われている。
 今も世界で根強い人気がある一方、発見当時の逸話などは関係者が亡くなるなどして風化しつつあった。そこで永冶理事長が「どのような歴史があったのか記録に残したい」と書籍化を企画。親交のあるツバキ研究者らに連絡を取り、過去の専門誌などに掲載された論文などを集めた。発見にまつわるエピソードの他、「玉之浦」の遺伝的研究や2世品種などを紹介している。
 永冶理事長は「『世界の玉之浦』の発祥地は五島。この本が、多くの人に五島へ来てもらうきっかけになれば」と期待している。
 A5判、73ページ、880円(税込み)。五島市内の書店や土産品店などで販売中。個別注文も受け付けている。問い合わせは永冶理事長(電090.7471.8356)。