【動画】対馬・対馬藩お船江跡 往時の姿とどめる石積み

2020/03/29 [13:42] 公開

国内に残る数少ない近世大名の御用船ドック跡「対馬藩お船江跡」=対馬市厳原町久田

国内に残る数少ない近世大名の御用船ドック跡「対馬藩お船江跡」=対馬市厳原町久田

大きい写真を見る

 波穏やかな厳原港の奥部。対馬藩が御用船などに使っていた「対馬藩お船江跡」=対馬市厳原町久田=は、国内に残る数少ない近世大名のドック跡。往事の姿を石積みにとどめ、静かに水をたたえる。
 市教委などによると、お船江跡は厳原港に面した入り江にあり、4基の石積み桟橋(長さ各約30メートル)と、五つの船だまりがある。築造年代は1663(寛文3)年とされてきたが、近年の調査で一部の桟橋に古い石積み技法が使われていることが分かり、半世紀以上前の慶長年間(1596~1615年)となる可能性が高くなっている。
 桟橋には和船が係留されており、潮が引くと、石積みも姿を現す。水面(みなも)には時折、羽を休めにきた海鳥の姿も。周囲には桜並木があり、散策を楽しむ市民も多い。
 先祖が対馬藩士で、お船江跡の土地を所有している同町の長安六(おさやすろく)さん(73)は「石積みの緻密さから、当時の土木技術の高さがうかがえる。対馬の宝として、末永く守り伝えていきたい」と話している。