長崎県南島原市が地域住民や観光客らの交流拠点として、口之津町に整備を進めていた市口之津港ターミナルビルが完成した。熊本県天草と結ぶフェリーのターミナル、市口之津支所などが入る。このうち口之津支所が9日、開所。ほかの施設も20日に供用開始する。
ターミナルビルは2018年3月着工。鉄筋コンクリート2階建て、延べ床面積約1970平方メートル。総事業費約8億7千万円。1階には島原鉄道のフェリーターミナルやバス待合所、口之津支所、飲食店、土産物店が、2階には市口之津歴史民俗資料館が入る。
外観は周囲の海や山に調和したデザインを採用。普通車50台、大型車9台分の駐車場を備える。ターミナルビル建設と一体的に、県もフェリーやイルカウオッチングの船を係留する浮桟橋を整備した。従来の島鉄フェリーターミナルや旧口之津支所の跡地利用は未定という。
市民有志の地域活性化グループ「みなとオアシスくちのつ運営協議会」(塩田善之会長)は8日、完成を記念し、街路樹として親しまれているジャカランダの苗木21本を駐車場周辺に植栽。会員ら約30人が新しいランドマークの門出を祝った。完成を心待ちにしていた濱田信子さん(68)は「船員の町として栄えた口之津町も過疎化が進んで寂れてきた。これを契機に昔のようなにぎわいを取り戻したい」と喜んでいた。
9日には、老朽化や耐震不備などに伴い仮庁舎で業務していた口之津支所も開所。笹田勝支所長(57)は「手狭な場所で市民の皆さまにご不便をかけていた。使い勝手の悪さも解消され、気持ち良く利用していただける」と話した。
市は落成式やオープニングイベントを20日に予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため中止を決めた。
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