長崎市愛宕1丁目の長崎玉成高(上村正和校長、468人)で1日、卒業式があり、被服系学科として127年の歴史に幕を閉じる生活技術科の10人は最後の卒業生となった。このうち村井愛香さん(18)は曽祖母、祖母、母に続き4代にわたって被服系学科の卒業となり、母千賀子さん(57)は「運命的なものを感じる」と親子で喜びを分かち合った。
同校の前身は1892年に創立した長崎女子裁縫学校。玉木女子高創設の1948年に被服科が設けられ、2005年に生活技術科となった。裁縫学校時代から被服系学科の卒業生は1万人を超える。
同科の卒業生10人は制作した着物、はかま、スーツを身に着けて出席した。授業だけでなく夏休みの補習、放課後の時間を使って1年がかりで完成させた。10人は式を終え、教員と保護者に「私たちのことは忘れても、生活技術科のことは忘れないでください」と声をそろえてあいさつした。
村井さんの曽祖母の故高島カヤさんの卒業は1910年度、祖母の故冨重君子さんの卒業は41年度。村井さん親子はそんな歴史を振り返りながら、記念写真に納まった。赤い着物が引き立つよう黒っぽい紺色のはかまを合わせた村井さんに、「お母さんを超えたね」と褒め言葉をかけた母千賀子さん。「娘はもの作りの喜び、その苦労などを学び、それが今後の人生に役立つはず」と話した。
今春から市内の病院で調理の仕事に携わる村井さんは「裁縫関係の仕事には就かないが、身に付けた裁縫の技術は一生のもの。将来、自分の子どもに手作りした服を着せたい」と笑顔を輝かせた。
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