世界初「ビワ種」使った化粧品 ブルーライトから肌を保護 大手ポーラ系が採用 長崎「出島福祉村」提供

2020/03/01 [13:00] 公開

県産ビワの種を使ったフェイスケアパウダー「Ouju」(手前)などITRIMの新商品=長崎市南山手町、カフェレストランKIZUNA

県産ビワの種を使ったフェイスケアパウダー「Ouju」(手前)などITRIMの新商品=長崎市南山手町、カフェレストランKIZUNA

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 化粧品大手ポーラ系の高級ブランド「ITRIM(イトリン)」として近く発売される商品の原材料に、化粧品としては世界で初めてビワの種が採用される。提供するのは長崎市の社会福祉法人「出島福祉村」グループ。これまで捨てられていた種に、シワやシミの原因となるブルーライトから肌を守る効果を確認した。

 ポーラ・オルビスホールディングス傘下のACRO(東京)が全国展開するITRIMは全17品目。すべて出島福祉村グループ「スカルパ」(長崎市)が供給する本県特産ビワの葉エキスを配合している。3月10日に追加発売する4品目のうち、フェイスケアパウダー「Ouju」(11グラム税抜き8800円)に種の粉末を使う。かつてビワはその薬効から「大薬王樹」と呼ばれていた。ACROによると、国際的な成分表示名称リストにビワの種を登録した化粧品は他にないという。
 ただ、ビワやウメの種にはアミグダリンが含まれ、食べ過ぎると健康に影響が出るとして、ほとんど廃棄されていた。Oujuは食品ではないが、あえて除去し安全性をアピールした。
 肌を明るくするほか、紫外線や花粉などの環境ストレスから肌を保護する。中でもブルーライトは紫外線より肌深くに達し、体内時計も狂わせて睡眠を阻害するとされる。九州大の研究では、ブルーライトを細胞に当てると生存率が下がるが、ビワ種子粉末を与えた上で照射すると細胞が増殖した。
 ACROは「環境ストレスに着目した化粧品はまだ少ない」とPR。ITRIMはホテル「ジ・オークラ・トーキョー」(東京虎ノ門)のスイートルームのアメニティーに採用され、世界に魅力を発信している。3月4日には全国11店目、九州初のテナントを福岡市天神の岩田屋に出店する。
 ACROの御後章社長は「自然の恵みを無駄なく使った持続性のある化粧品」と強調。ビワの葉や種は、出島福祉村グループの就労支援施設が栽培しており、池田賢一理事長は「障害者の自立につながる新たなビジネスの素材を得た」と話した。

 


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